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【大相撲】

日馬富士が横綱初V

2013年1月27日 紙面から

千秋楽を前に優勝し、タイを手に笑顔の日馬富士(中)=東京都江東区の伊勢ケ浜部屋

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◇大相撲初場所<14日目>

(26日・両国国技館)

 後続に2差をつけ王手をかけていた横綱日馬富士(28)=伊勢ケ浜=が、鶴竜を寄り切って土つかずの14連勝とし、2場所ぶり5度目の優勝を決めた。横綱としては在位2場所で初の賜杯。外国出身力士の優勝は41場所連続となった。白鵬(27)=宮城野=は稀勢の里を退けて12勝目。琴欧洲は9勝目、琴奨菊は7勝目を挙げた。鶴竜は6敗、稀勢の里は4敗となった。十両では常幸龍と貴ノ岩が3敗でトップに並んだ。進退が注目される高見盛(36)=東関=は10敗目を喫した。

 込み上げてくるのは感激よりも安堵(あんど)の思いだった。日馬富士は鶴竜を寄り切って14連勝で千秋楽を待たず横綱としての初優勝を一気に決めた。その第一声は、「ホッとしました」。それほど精神的に追い詰められた末につかんだ5度目の栄冠だった。

 両足首の故障が響いて新横綱の先場所は終盤5連敗を喫し、9勝6敗と散々な成績で終わった。場所後の横綱審議委員会では今場所、再び1桁勝利に終われば引退勧告を出すべきだ、との厳しい意見も出ていた。

 あれから約2カ月。この間、最も苦しんだことは「やっぱりケガじゃないかな」とつぶやいた。痛みについて聞かれるたび「大丈夫。全然問題ない」と答えてきた。11日目の琴欧洲戦で左足首の痛みが再発。でも泣き言は一切こぼさない。それが綱の責任だった。

 先場所後、母国のモンゴルに5日間だけ帰国した。向かったのは06年、交通事故で他界した父ダワーニャムさんの墓前。「1人の人間として父に感謝の思いを報告した。胸を張って立てたのは幸せなこと。その時の気持ちがまた力になった」

 大型化が進む角界。幕内最軽量の133キロの体は悲鳴を上げるばかり。しかし現在も日馬富士は病院で苦しむ全国の子どもたちと交流を続けている。大きい相手に真っ向勝負を挑むことは何よりの誇りなのだ。

 「ボクが小さい体で頑張って優勝することは、小さい力士や体の小さい子どもたちに勇気と感動を与えられる。やった意味がそこにある」

 北の湖理事長(元横綱)は「(今場所は)何が何でもという気持ちを感じた。今年は半分ぐらい優勝する気でいくんじゃないか」と絶賛した。

 支度部屋では淡々と、そして帰りの車に乗り込んだところでカメラマンの希望に沿ってVサインを作った日馬富士だが、国技館を後にするまで笑顔を見せなかった。

 「まだ終わってないからね」。見据えるのは自身3度目となる全勝優勝(史上10位タイ)。目標を成し遂げた時、心の底から喜びを表現し、高々と賜杯を掲げることだろう。 (竹尾和久)

 

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