愛知県警の警察官に犯歴を含む個人情報を漏らされ、精神的苦痛を受けたとして、同県在住の女性が県や警察官らを相手取り、国家賠償法に基づき慰謝料など約580万円の支払いを求める訴訟を名古屋地裁岡崎支部に起こしたことが分かった。県警は漏えいの有無などについて調査する方針。
訴状や原告側代理人によると、女性は昨年5月、友人から「知人が、あなたの犯歴などを知っている」と教えられた。女性もこの知人を知っていたため、事実かどうか確認。すると知人は、女性の前科のほか、県外の実家の住所や20年以上前の未成年時代の前歴など、他人に教えたことのない情報を知っていた。
女性がどこから情報を得たか尋ねたところ、知人は「知り合いの警察官から教えてもらった」と警察官の実名を挙げて説明したという。
原告側代理人によると、女性は11年11月ごろにこの知人と知り合い、昨年2月ごろに美容飲料販売のマルチ商法に誘われた。女性の情報が漏らされたとみられる昨年2~5月ごろは、マルチ商法の講習会で参加者らの所持金が紛失した出来事を巡り、女性と知人の間でトラブルがあったという。
女性は「警察官は知人から犯歴などの調査を依頼され、職務中に調べた情報を教えた」と指摘している。
県警監察官室は毎日新聞の取材に「訴状の内容について、事実関係も含めて調べ、適正に対応していく」としている。【稲垣衆史、沢田勇】
2013年01月18日 02時30分