小田原市飯泉の自宅で大工原田米三さん（６６）の遺体が発見された事件で、原田さん名義の預金通帳などで現金を引き下ろそうとしたとして、小田原署捜査本部は２３日、詐欺未遂の疑いで、横須賀市出身で住所不定、無職松原守美容疑者（３９）を再逮捕した。捜査本部は同容疑者が原田さんの殺害にも関与した可能性があるとみて、通帳を入手した経緯などについて捜査している。

　再逮捕容疑は、昨年１２月１９日午前１０時４５分ごろ、二宮町にある信用金庫窓口で、原田さんの通帳と印鑑を使い、現金を引き下ろそうとした、としている。同容疑者が使用した印鑑が届出印と異なったことから未遂に終わった。捜査本部によると、同容疑者は「金が無く困っていた」との趣旨を供述、容疑を認めている。

　県警によると、同容疑者は南足柄市内の建築会社に大工として勤務。原田さんは２００１年ごろから同社の下請けをしており、仕事を通して知り合った。同容疑者は昨年１１月下旬まで、平塚市の社宅に住んでいたといい、原田さんの携帯電話の通話履歴には、同月初めに同容疑者と連絡を取り合った形跡が残っていたという。

　同容疑者は今月８日、同社の工具２台（時価計９万円）を２万円で質入れしたとして、小田原署に横領容疑で逮捕された。一方、捜査本部は信金から「原田さんの通帳などで金を引き下ろそうとした男がいる」との情報を得て防犯カメラの映像を解析したところ、同容疑者と酷似していたという。

　また、原田さんが昨年１２月１８日午後、小田原市内の郵便局で残高照会していたことも、捜査本部の調べで新たに判明。司法解剖の結果、原田さんの死亡推定日時は１２月下旬ごろだった。