いったいなぜ山田町は、このようなNPO法人に緊急雇用創出事業を任せたのか。地元紙の社会部記者が解説する。
「岡田代表が山田町に現れたのは3・11の震災から約2週間後でした。遺体捜索やボランティアで活動していたのを沼崎喜一前町長(昨年7月に退任)が認め、'11年5月に町物資センター担当主幹などを委嘱し、同年9月に役場職員と同じレベルの復興支援参与に任命したのです。'11年度にも緊急雇用創出事業で約4億円の運用を任されましたが、このときには町や県のチェックをパスしている。実績を積み上げて雇用人数が増え、'12年度に約8億円の事業を任されたのです」
それにしても、町側に逐一確認して事業を行ってきたとする岡田代表と町側の主張は大きく隔たっている。
「昨年7月に前町長が引退し、現町長や総務課長などは事態をまったく把握していなかった。NPO側は『予算が足りなくなったら補正予算で補う約束だった』と主張していますが、これだけ杜撰だとそれも鵜呑みにはできない。町側の管理責任も問われるでしょう」
前出・地元紙記者はこう指摘する。さらに驚くべきことに、町は岡田代表がどういう来歴の持ち主なのか、いっさい把握していなかったという。
「岡田代表の履歴書は受け取っていません。町の職務遂行に対する同意書も受理していません。当時の担当者が身分証明書を求めたところ、いつも『後で』と言われてそのままになっていたというのです」(山田町役場の担当者)
'11年、'12年の両年度で計12億円もの予算を任せるのに、あまりに杜撰ではないか。前出・田村議員が言う。
「要は国のバラまき事業なので、町の懐が痛むことはない。でも、国であろうが町であろうが、これは血税なんです」
冒頭の町長のコメントにあるように、町は警察にこの問題を相談している。被災地では復興につけこむ有象無象の暗躍が伝えられるが、このNPOもその類である疑いが濃厚なのである。
「フライデー」2012年2月1日号より
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