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2.千両花嫁-とびきり屋見立て帖No.1- 3.利休にたずねよ 5.ええもんひとつ-とびきり屋見立て帖No.2- 6.神変 7.赤絵そうめん-とびきり屋見立て帖No.3- |
●「戦国秘録 白鷹伝(はくようでん)」● ★★ |
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2007年04月 |
浅井長政滅亡後、信長配下となった鷹匠・小林家次(後に家鷹)を主人公とする戦国小説。 執筆にあたり、山本さんは、鷹狩のルーツ取材にモンゴルまで出かけたとのこと。その熱意に対して賛辞を呈したい。 |
●「千両花嫁-とびきり屋見立て帖-」● ★☆ |
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2010年11月
2008/06/16
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駆け落ち同然に夫婦となった若い真之介とゆずの2人。 許されぬ事情ある2人が夫婦になって・・・という連作時代小説というと北原亞以子「深川澪通り木戸番小屋」を思い出すところですが、同書は老夫婦を主人公にしていてひっそりと、という感じの作品。それに対して本書は、お互いに惚れあった若い2人の夫婦が主人公ですから、これから2人で頑張って生きていこうという爽やかで若々しさに満ちた連作短篇集になっています。 道具の見立てだけでなく、人物の見立ても試されるというところがストーリィの妙味。 千両花嫁/金蒔絵の蝶/皿ねぶり/平蜘蛛の釜/今宵の虎徹/猿ヶ辻の鬼/目利き一万両 |
●「利休にたずねよ」● ★★ 直木賞 |
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2010年10月
2009/02/26
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自らの絶対的な権力をもって利休を自分の足元に屈しせしめんとする秀吉、それに対し、美への矜持を貫き、切腹するとも小癪な「猿め」に屈するものかと意地を張る当代一の茶人=千利休。 第一章は、その千利休がついに切腹に至る当日を描く篇。 前半こそ、秀吉も強引だが利休の方もまた驕り過ぎではないかと感じていたのですが、次第に“侘び茶”“美”とは何ぞやと考えるようになり、それに連れて千利休という人物の奥行きを感じるようになったという次第。 死を賜る(利休)/おごりをきわめ(秀吉)/知るも知らぬも(細川忠興)/大徳寺破却(古渓宗陳)/ひょうげもの也(古田織部)/木守(徳川家康)/狂言の袴(石田三成)/鳥籠の水入れ(ヴァリニャーノ)/うたかた(利休)/ことしかぎりの(宗恩)/こうらいの関白(利休)/野菊(秀吉)/西ヲ東ト(山上宗ニ)/三毒の焔(古渓宗陳)/北野大茶会(利休)/ふすべ茶の湯(秀吉)/黄金の茶室(利休)/白い手(あめや長次郎)/待つ(千宗易)/名物狩り(織田信長)/もうひとりの女(たえ)/紹鷗の招き(武野紹鷗)/恋(千与四郎)/夢のあとさき(宗恩) |
●「命もいらず名もいらず」● ★★☆ |
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2010/05/19
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幕末から明治にかけて渾身の活躍をし、無刀流の開祖ともなり、剣・禅・書の達人として知られた山岡鉄舟の生涯を描いた歴史時代小説の傑作。 幕末を描いた歴史長篇の中で抜群に面白いのは、司馬遼太郎「竜馬がゆく」であるとして過言ではないと思いますが、子母沢寛「勝海舟」も十分に面白い。 竜馬、海舟と同様に面白いといっても、人間としてのタイプはまるで異なります。だからこそ、こうしたタイプの人物もいたという面白さ、興味にとことん惹き込まれるのです。 その鉄舟、幕臣の小野鉄太郎として生まれる。異腹兄が家督を継いだこともあり、槍術の師であった山岡静山の急死に伴い、弟の泥舟らに勧められて妹の英子の婿となり、山岡鉄太郎高歩(たかゆき)。 剣への鍛練の部分、禅への求道部分を読んでも面白く、さらに度外れな本気度を何度も示す逸話の部分も面白い。 ストーリィとしても主人公像としてもすこぶる面白い上に、歴史を知る面でも貴重な、傑作歴史時代長篇。お薦めです! |
●「ええもんひとつ-とびきり屋見立て帖-」● ★☆ |
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2012年12月
2010/07/15
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勤皇の志士、新撰組らが入り乱れて世情騒がしい幕末の京を舞台に、道具屋“とびきり屋”の稼業に励む夫婦=真之介&ゆずの若々しい姿を描いた“とびきり屋見立て帖”シリーズ、第2弾。 こうしたシリーズもの、1冊目は私にとって吉原の初会のようなもので、どこか手探りしながら読んでいるところがあります。そして2冊目、裏を返したようなもので初めて寛いで楽しむことができる。本書もまさにそんな具合です。 世情騒がしいことながら、店を構え、奉公先のお嬢さんだったゆずを駆け落ちのようにして嫁に迎えた真之介、まずは商い一筋というところ。 前巻「千両花嫁」では、芹澤鴨、近藤勇、土方歳三、高杉晋作、坂本竜馬、勝海舟ら、歴史上著名な人物にとかく目を惹かれました。しかし、本巻では、相変わらずの芹澤鴨、坂本竜馬に加え、桂小五郎と幾松の登場はあるものの、あくまで中心は“とびきり屋”の商いぶり。その点もまた、本作品を寛いで楽しめた理由です。 夜市の女/ええもんひとつ/さきのお礼/お金のにおい/花結び/鶴と亀のゆくえ(とびきり屋なれそめ噺) |
●「役小角(えんのおづぬ)絵巻 神変(じんべん)」● ★☆ |
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2011/08/10
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修験道の開祖として知られる伝説的な人物、役小角(役行者)を主人公とする時代もの長篇小説。 亡き夫・天武天皇の遺志を継ぎ、藤原不比等の力を借りて中央主権国家造りに邁進する持統天皇(鸕野)。 現代であれば国家があり、国民は法の下で一定の制約を受けるのは当たり前のこと、としか思えませんが、本書主人公である小角としてはとんでもない、そんなこと誰が認めた!?ということになるらしい。 そしてそれは、何も役小角・持統天皇の時代だからの事ではなく、現代の国家政治にも通じること。 |
●「赤絵そうめん-とびきり屋見立て帖-」● ★☆ |
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2011/12/16
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幕末の京を舞台に、道具屋“とびきり屋”の稼業に励む仲の良い夫婦=真之介&ゆずの若々しく温かい姿を描いた“とびきり屋見立て帖”シリーズ、第3弾。 相変わらず、幕末を賑わした坂本竜馬、芹澤鴨、近藤勇、桂小五郎、三条実美といった面々が登場します。 赤絵そうめん/しょんべん吉左衛門/からこ夢幻/笑う髑髏(しゃれこうべ)/うつろ花/虹の橋 |