生活保護費の不正受給に関与したとして、徳島県警は26日、共産党の元県議、扶川敦(ふかわあつし)容疑者(56)=同県板野町=を詐欺容疑で逮捕し、発表した。逮捕後に接見した弁護士によると「共謀の事実はない」と容疑を否認しているという。
県警によると、扶川容疑者は不動産仲介業の浜西慎一容疑者(36)=徳島市=と共謀。2010年3月ごろ、浜西容疑者が仲介するアパートに生活保護受給者の女性(64)が入居する際、生活保護法に基づいて敷金補助が適用されるよう、実際の家賃(月3万9千円)より安い家賃(同3万6千円)を記し、連帯保証人の署名をした虚偽の書類を県に提出。4月ごろ、敷金補助や引っ越し費用として、県に約20万円を不正に支給させた疑いがある。浜西容疑者は「自分の営業成績を伸ばすためにやった」と容疑をおおむね認めているという。
県警は今月8日、浜西容疑者を逮捕し、関連先として扶川容疑者の事務所や自宅などを家宅捜索した。扶川容疑者は14日に会見を開き、08年ごろから、生活保護受給者の住宅確保のために連帯保証人となり、不動産業者を紹介していたと説明。09〜10年ごろ、一部業者が県への提出用と、業者や家主用の2通の書類を作るのを不自然と思ったが「業界の慣習」と考え、署名していたと認めた。さらに、業者から紹介料を受け取ることもあり、生活困窮者の互助会に使っていたと明かす一方、「詐欺行為には加担していない」と反論。「道義的責任を取る」として翌15日、議員辞職した。
扶川容疑者は赤旗記者などを経て、03年に県議に初当選し、3期目だった。