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山元町社協 使途不明金は5420万円 震災寄付金も流用か

職員の私的流用などによる多額の使途不明金が判明し、記者会見で頭を下げて陳謝する山元町社協の鈴木会長(中央)ら幹部

 宮城県山元町の町社会福祉協議会(鈴木敏勝会長)の使途不明金問題で、町社協は25日、現時点で判明した2010年度から12年度の不明金の額が約5420万円に上ることを明らかにした。このうち約2430万円は、会計責任者の男性主査(35)が私的に流用したことを認めているという。町社協は主査を同日付で懲戒解雇処分とし、県警に被害届を提出することを検討している。
 鈴木会長らによると、主査は10年5月から昨年12月まで計128回、不正に持ち出したキャッシュカードで町社協の12口座から1回当たり3万円〜33万2000円を引き出した。
 12口座の一部には、東日本大震災に伴う全国からの寄付金計1685万円が入金されており、主査が善意の寄付金を私的に流用した可能性も否定できない。
 町社協の調査に対し、主査は「精神的な安定を得るため、すべて祈祷(きとう)代に使った」と話しているという。
 町社協は震災の混乱で10、11年度の決算処理が大幅に遅れていた。昨年12月から県の指導を受けて資料の分析を進めた結果、多額の使途不明金が判明。主査がコンビニエンスストアの現金自動支払機から町社協のカードで現金を引き出した記録が見つかり、流用が発覚した。
 鈴木会長は「町民はもちろん、震災からの復興に多大な支援を頂いている全国の皆さまに申し訳ない」と陳謝。近く外部の有識者らによる検証委員会(仮称)を設立し、管理責任を明らかにするとともに再発防止策を検討する方針だ。


◎復興担い手、チェック甘く/会計、主査に任せきっり

 宮城県山元町社会福祉協議会(鈴木敏勝会長)で発覚した約5420万円の使途不明金問題は、会計責任者の男性主査(35)が約2430万円の私的流用を認めて25日、懲戒解雇された。「着服の事実に全く気付かなかった」と説明する町社協のチェック機能の甘さが露呈した。東日本大震災からの復旧・復興、被災者支援の担い手の組織で起きた不祥事に、関係者は驚きを隠せない。
 町社協によると、主査は1999年に町社協職員となり、2003年から経理を担当。05年から総務係長として会計責任者を担い、社協本部の運転資金などの会計処理を任されていたという。
 会計が12口座あり、主査は各キャッシュカードを持って自由に出し入れできる立場にいた。町社協幹部は「他の職員が出入金を確認する態勢になかった。チェックが甘かった」と認める。
 関係者によると、主査は社会福祉法人の経理に精通し、理事会の議事資料作りや決算書作成などを1人で全てこなしていた。11年3月の震災後は全国からの災害ボランティア受け入れや、寄付金の受け付け業務などをした上に、会計責任者もしていた。
 元幹部は「着服には全く気付かなかった。人手が足りず、任せきりになってしまった部分もあった」と打ち明ける。
 斎藤俊夫町長は「多額の不明金が出たことは誠に残念。社協が被災者支援を担っている面からも町内外に与える影響は甚大だ。町として、早急な原因究明に必要な支援をしていく」と話した。


2013年01月26日土曜日


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