【上山崎雅泰】佐賀市で26日始まった日本教職員組合の教育研究全国集会の分科会では、東京電力福島第一原発事故で放射線被害を受けた福島市内の小学校で、線量を調べて危険性を学ぶ授業が紹介された。
「子どもたちが危険性を理解した」と意義を語ったが、別の福島の教師からは「危険性を教えるとよく思わない保護者もいる」と複雑な現状も報告された。
福島市立松川小の三浦俊彦教諭は2年生の授業で、校内のどこが放射線量が高いかを学ぶ授業をした。
事前に線量計で図った教室内の線量(0・04〜0・05マイクロシーベルト)をマス目の1とした上で、子どもたちに校内のほかの地点の線量を予想させた。
除染前の体育館の雨どい下の側溝の線量について、多くは「10〜50マス」と予想したが、実際は300マス分もあり、児童は驚いた様子だったという。
授業の最後に、今後注意することを紙に書かせると、「そっこうとか水たまりにわざと行かない」「そっこうでザリガニをとらない」とあり、線量が高い場所を避ける意識が深まったことがうかがえたという。
三浦教諭は「最近では事故前とほぼ同じような生活を送っているが、気をつけなければならない点について、授業で改めて意識が高まった」と意義を語った。
福島県の伊達市立梁川中の大槻研司教諭は、郡山市の給食センターで週1回、給食の放射線の測定をしている現状を報告。県内産ブドウから基準以上の値が検出され、山梨産に変更した例を紹介した。大槻教諭は「危険性を教えた場合、『必要以上に不安を抱える』と、よく思わない保護者もいる」と、実際に授業に取り上げる教師は少数であると指摘した。
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