甘利明経済財政・再生相は26日、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で安倍政権の経済政策「アベノミクス」を説明した。政府と日銀が物価上昇率目標を共有することは「世界標準から逸脱していない」とし、円安誘導との批判に反論した。カナダ銀行のカーニー総裁や経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長らは日本を擁護した。
経財相は26日のダボス会議に先立ち、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事と会談した。甘利氏は会談後に「アベノミクスの政策を理解し、支持するという話だった」と話した。
経財相は安倍晋三首相の代理として現地のダボス会議に出席した。大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「3本の矢」の展開がアベノミクスの特徴だと説明。「萎縮し続ける経済に決別し、成長し続ける強い経済を目指す」と表明した。
「短期的には機動的・弾力的に財政運営をするが、中長期的には持続可能な財政を実現していく」とも語り、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を2020年度までに黒字化する財政健全化目標を堅持する方針を説明した。
安倍政権の政策を巡っては円安誘導策との批判がある。ドイツのメルケル首相は24日のダボス会議で「為替操作は敏感な問題になりつつあり、日本に対する懸念が出ている」と批判。「政治が中央銀行に圧力をかけるべきではない」と語った。
キング英中銀総裁や韓国政府による通貨安競争への懸念も伝わる。2月の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、日本の円安政策を議題にする動きも出ているという。
こうした批判も念頭に経財相は日本の金融政策について「2%の物価上昇率目標は国際標準だ」と指摘。そのうえで「政府と日銀がお互いの努力で頑張るということで、世界標準から逸脱していない」と反論した。
さらに「15年もデフレと円高に悩まされている」と日本の課題を強調。「デフレの克服、少子高齢化の対応は世界が経験したことのない困難な課題だ。ほかの国に先んじて処方箋を示して世界に貢献する」と各国に理解を求めた。
同じ会議の出席者からは日本への擁護論も出た。次の英中銀総裁に内定しているカナダ銀行のカーニー総裁は「政府と中銀が物価安定で約束するのはカナダも同じだ」と指摘し、日本政府と日銀の共同声明に理解を示した。OECDのグリア事務総長は「日本の成長は大歓迎だ」と語り、日本の経済政策を支持した。
経財相は日本企業による海外展開の支援を強化すると表明したが、環太平洋経済連携協定(TPP)には言及せず「経済連携をさらに促進する」と述べるにとどめた。甘利氏はアベノミクスへの批判に「しっかり説明して正しく評価された。一部の誤解が解けた」と会議出席後に語った。
(ダボス〈スイス東部〉で、上杉素直・塙和也)
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