NY外為:円反落、西村副大臣の発言で-一時90円56銭
1月24日(ブルームバーグ):ニューヨーク外国為替市場では円がドルに対して4日ぶりに下落。西村康稔内閣府副大臣が「もう一段の円高修正、円安は十分あり得る」と述べ、1ドル=100円まで円安が進んでも問題はないとの見解を示したことが円売りを誘った。
円は主要16通貨全てに対して下落した。中国の製造業活動がこの2年で最も速いペースで拡大していることが調査で明らかになり、逃避先としての円の需要が弱まった。ユーロ圏のサービス業と製造業を合わせた1月の経済活動が縮小したものの、前月の水準は上回ったため、ユーロは上昇した。
ソシエテ・ジェネラルのシニア為替ストラテジスト、セバスチャン・ゲーリー氏(ニューヨーク在勤)は電話インタビューで、「円のシナリオはまだ終わっていない。ドルが堅調で、米国と欧州、中国の経済指標が好調なら、円はドルに対して下落し、ユーロに対しても幾らか弱含む傾向がある」と指摘した。
ニューヨーク時間午後5時現在、円は対ドルで1.9%安の1ドル=90円33銭。一時は90円56銭と、2010年6月以来の円安・ドル高水準を付けた。過去3日間では1.7%上げていた。対ユーロでは前日比2.4%安の1ユーロ=120円83銭。一時は2011年4月以来の安値となる121円07銭まで下げた。ユーロはドルに対して0.4%高の1ユーロ=1.3377ドル。
下落率首位は円先進10カ国の通貨で構成されるブルームバーグ相関加重通貨指数によると、円は過去6カ月に18.5%安と、最も下落している。ドルは4.2%下落。一方、ユーロは6.5%高。
ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)の外国為替戦略グローバル責任者、アダム・コール氏(ロンドン在勤)は「政権交代以降、強いレトリックが聞かれるため、政府が実際に行動に移さないとしても過去2カ月に積み上がった円のショートポジションはびくともしないだろう」と語る。「投資家は新内閣に政策実行のための時間的猶予を与える姿勢だ」と続けた。
西村副大臣はブルームバーグ・ニュースのインタビューで、1ドル=100円でも問題ないとの見解を示した。ドイツのメルケル首相はスイスのダボスで、金融緩和を求める日本政府の働き掛けが世界経済の回復に対するリスクになっているとの見解を示した。
ブルームバーグがまとめたオプションのデータによると、円が年末までに100円まで下落する確率は27%となっている。
95円まで下落もクレディ・スイス・グループのテクニカル分析によると、円は対ドルで主要な水準に近づきつつあり、3年5カ月ぶりの水準に下落する可能性が出てきた。
クレディのテクニカルアナリスト、シリン・ベイン氏(ロンドン在勤)は顧客向けリポートで、円が90円25-84銭の支持線を割り込めば、95円まで下落する可能性があると指摘した。
英HSBCホールディングスとマークイット・エコノミクスが発表した1月の中国製造業購買担当者指数(PMI)速報値が51.9と、昨年12月の51.5(改定値)から上昇したことは朝方の円売り材料となった。同PMIは2013年の中国経済が昨年第4四半期の7.9%と同じあるいはそれ以上のペースで滑り出したことを示唆した。
みずほコーポレート銀行の欧州ヘッジファンド・セールス責任者、ニール・ジョーンズ氏(ロンドン在勤)は「中国のデータの影響を強く受けて円は下げた。中国のデータは多くの市場参加者にとって予想外の強さを示した。世界の状況は改善傾向を示しているが、相場にはまだ織り込まれていない」と指摘した。
原題:Yen Drops After Japan Official Says Slide Not Over; EuroClimbs(抜粋)
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更新日時: 2013/01/25 07:44 JST