NPOが企業にコンテンツを売る時代

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2013/01/26


テントセンのインタビューでCSRコンサルタントの安藤さんと対談してきました。非常に面白い話を聞くことができたのでご共有。


企業に広がるコンテンツマーケティング

安藤さんに教えてもらって驚いたのですが、コカコーラのコーポレートサイト(www.coca-colacompany.com)がメディア化しているんですね。ここまで大胆にメディア化するというのはすごい。

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で、コンテンツを中身を見てみると、 Ronald McDonald House Charitiesのマーケターが記事を寄稿していたり、世界経済フォーラムからの転載だったりするんです。

つまり、NPO団体がコカコーラに記事を提供しているわけですね。仕組みはどうなっているのかは分かりませんが、恐らくコカコーラが購入しているのではないか?と思われます。


コカコーラに限らず、企業がマーケティングの一環として自社メディアを持つケースはかなり増えています。国内スタートアップでは、弁護士ドットコムみんなのウェディングランサーズクラウドワークスオーマイグラスなどが力を入れていますね。若いベンチャーに留まらず、大手企業がコンテンツマーケティングを始めようとしている事例も多数見聞きしています。


専門的コンテンツの宝庫であるNPO

企業がコンテンツマーケティングに取り組む上での課題は、「コンテンツの調達」です。自社で作ることもあれば、コカコーラのように他社から転載・寄稿を受け入れる場合もあります。

前置きが長くなりましたが、今回安藤さんに教えてもらってビビっときたのは、「NPOってコンテンツの提供者になりえるんじゃない?」という話。


確かに、NPO活動をしている人たちは、社会問題に対する高い専門性を有しています。この専門性をもってすれば、良質なコンテンツを生産できます。

たとえばぼくがお手伝いしているNGO/PLASはエイズ孤児問題や、事業拠点であるケニアやウガンダについての専門的な知識を持っています。ビッグイシューはホームレス問題、ネットカフェ難民問題、生活保護問題など、様々な社会問題のスペシャリスト集団でもあります。育て上げネットはニート問題、若者の就労問題、フローレンスは保育問題、ワークライフバランスの問題などの専門家とも言えます。

先に紹介したRonald McDonald House Charitiesは「医療危機においては、家族をケアすることが重要」という専門的な内容を投稿していますね。こういうコンテンツはやはりNPO団体だからこそ提供できるものです。


しかしながら、現状ほとんどのNPO団体において、記事を書けるライターも不在ですし、そもそも自分たちの持っているコンテンツの価値に気付いている団体もわずかです(安藤さんいわく、まずは「宝探し」をする必要がある、と)。

NPOに所属するファンドレイザー、広報担当がコンテンツを書けるようになると理想的です。というわけで、テントセンとしてはNPOのマーケター向けのライティング講座も提供していきたいなぁ、と考えています。ご興味がある団体の方は、お気軽にお声がけください(nubonba@gmail.com)。


NPOが企業にコンテンツを売る時代へ

さらに時代が進めば、「NPOが企業にコンテンツを売る」ようになることでしょう。よいマッチングさえ実現してしまえば、すぐにでも小さな事例は出てくると思われます。パッと思い付くところでは、たとえば弁護士ドットコムトピックスに、ブラック企業問題に取り組むPOSSEが有償でコンテンツ提供する、とか。

NPOによるコンテンツ提供は、団体にとってもさまざまなメリットをもたらします。コンテンツ販売で収益を得られるだけでなく、認知度やサイトトラフィックの向上にもつながるでしょう。ファンドレイジング戦略全体を底上げしてくれると思います。


国内のNPOの状況を考えるとまだ早い感じもしますが、小さなところから事例を作るのは難しくないと考えています。今年は一件くらい、そんな案件をつくり出してみたいところ。


関連本。NPOマーケティングについて扱った本としては、個人的にベストな一冊。一般企業でも生かせるノウハウがてんこ盛りなのでマーケターの方はぜひ。


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