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2013年1月26日(土)付

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税制改革―公平と活力の両立を

自民、公明両党が税制改革案を決めた。所得税の最高税率を40%から45%に上げる。相続税でも最高税率を50%から55%へ引き上げつつ、課税時に差し引ける基礎控除を現行の6[記事全文]

習氏との会談―これを雪解けの一歩に

中国を訪問していた公明党の山口那津男代表がきのう、習近平総書記と会談した。日本政府による尖閣諸島の国有化で関係が悪化して以来、中国共産党トップが日本の政党党首と会うのは[記事全文]

税制改革―公平と活力の両立を

 自民、公明両党が税制改革案を決めた。

 所得税の最高税率を40%から45%に上げる。相続税でも最高税率を50%から55%へ引き上げつつ、課税時に差し引ける基礎控除を現行の6割に縮めて課税対象を広げる。

 14年度からの消費増税では、所得が低い人の負担が重くなる「逆進性」が指摘されている。所得税と相続税の改革は、収入や資産が多い人への課税強化で「公平」を期すのが狙いだ。ここは評価できる。

 一方、デフレ克服と経済の活性化を狙った案も目白押しだ。

 祖父母から子や孫への生前贈与では、教育資金に充てることを条件に、子・孫1人あたり1500万円まで贈与税を非課税にする。

 企業向けでは、従業員への給与などを増やした会社の法人税を減らす制度を設け、生産設備や研究開発への投資を促す減税策も強化する。

 裕福なお年寄りや企業の手元に眠る資金を動かし、何かと物入りな現役層の消費を後押ししたり、企業の投資を増やしたりするのが狙いだ。「活力」を強く意識した案である。

 公平か活力か。これまでの税制改革でもたびたび議論されてきた論点だ。

 短期の活力重視が社会の公平さを損ない、結局は社会全体の活力を失わせる恐れがないか。うまくバランスをとり、国民の納得を得ていくには、改革の効用と弊害に目を配ることが欠かせない。

 たとえば生前贈与である。

 子どもの学力と家庭の経済力には相関関係が見られる。贈与税の優遇策の恩恵を受ける裕福な家庭の子どもと、そうでない子どもとの間で教育格差が生まれ、それが経済力の差につながるようでは、負の影響が大きくなりかねない。

 「従業員への給与増で法人減税」は、従来の「雇用を増やせば減税」と比べ、企業の使い勝手はよさそうだ。

 ただ、失業者を減らす取り組みがおろそかになっては、本末転倒である。今回は「雇用増で減税」の方も制度を充実させるが、労働格差の固定化を避ける視点が重要だ。

 新制度がどのように使われ、どんな効果が見られるか。制度を設けた時には想定していなかった弊害が生じていないか。

 一度導入されると、それが既得権となり、長期間そのままになりがちなのが税制である。既存の仕組みを含めて、検証と見直しを常に続けていかなければならない。

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習氏との会談―これを雪解けの一歩に

 中国を訪問していた公明党の山口那津男代表がきのう、習近平総書記と会談した。

 日本政府による尖閣諸島の国有化で関係が悪化して以来、中国共産党トップが日本の政党党首と会うのは初めてだ。小さな一歩にすぎないが、パイプがつながったことを歓迎する。

 山口氏は安倍首相の親書を手渡し、日中の首脳会談を呼びかけた。習氏も「ハイレベルの交流を真剣に検討したい」と応じた。習氏はそのための環境整備も求めており、にわかに実現するかどうかはわからない。

 とはいえ、習氏みずから意欲を示したのは前向きのサインと受けとめたい。ぜひ実現につなげてほしい。

 もちろん、首脳同士が会ったからといって、尖閣問題で溝を埋めることは望めまい。大切なのは、この問題を経済や文化など両国間の様々な交流に波及させないことだ。

 この点でも、習氏は「中日関係は特殊な時期に入っているが、国交正常化の歴史をさらに発展させなければならない」と語った。ならば、尖閣を理由に関係を停滞させないよう、言葉通りの対応を求める。

 山口氏は出発前、「将来の世代に解決を委ねることが、当面の不測の事態を避ける方法だ」と発言。中国側の主張に沿った、領有権の「棚上げ」論ではないかとの疑念を招いた。

 尖閣が日本の領土であることは間違いない。ただ、「領土問題は存在しない」という、日本政府の棒をのんだような対応ばかりでは、話し合いの糸口さえつかめなかったことも事実だ。

 両国のナショナリズムが沸き立つのを避けつつ、互いに知恵を出し合い、粘り強い対話を続けるしかあるまい。

 尖閣周辺には、連日のように中国の船舶や航空機が姿を見せている。私たちはこうした挑発行為をやめるよう再三求めてきたが、やむ気配はない。

 こんな状態が続けば、いつ偶発的な武力衝突が起きても不思議ではない。

 山口氏はやはり出発前、「この島に両国の軍用機が近づきあうことは不測の事態を招きかねない。お互い空に入らないとの合意に至ることも重要だ」と提起した。両政府間で衝突回避の具体策を早急に協議すべきだ。

 今回の訪中は、議員外交の意義を再認識させた。

 関係改善に向けて、あらゆるパイプを総動員する。そこでつかんだきっかけを逃さず、政府間の話し合いにつなげる。

 その積み重ねの中から、雪解けを図るしかあるまい。

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