尖閣水域侵入:台湾船が中国船に警告
毎日新聞 2013年01月25日 21時26分
【台北・大谷麻由美、北京・成沢健一】沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島、台湾名・釣魚台)の領有権を主張する台湾の民間団体「中華保釣(尖閣防衛)協会」のメンバーらの乗った漁船「全家福号」が24日に尖閣の接続水域に侵入した際、中国の海洋監視船が接近し、漁船に同行した台湾の海岸巡防署(海上保安庁)の巡視船が海洋監視船に退去を求めていたことが分かった。尖閣問題で台湾との「共闘」をアピールしようとした中国の試みが失敗した形で、一部中国メディアは台湾側を批判する論調を掲げた。
24日に記者会見した台湾の海岸巡防署によると、尖閣の周辺海域で台湾と中国の公船が接近するのは初めて。当時は台湾の漁船のほか、日本の海上保安庁の巡視船8隻、海岸巡防署の巡視船4隻、中国の海洋監視船3隻が航行し、中台の距離は最も近い時で約560メートルに接近。台湾側は中国側に電光掲示板などで「ここは『中華民国(台湾)』釣魚台の海域。直ちに離れてください」と警告を発した。
中国は以前から台湾に「尖閣防衛の共闘」を迫っているが、台湾は拒絶している。中台は主権を争う関係であり、中国は武力による台湾統一を放棄していない。台湾にとって最大の後ろ盾である米国が中国へのけん制を強めていることも「共闘」を拒む背景にある。海岸巡防署は警告を発した理由を「両岸(中台)共同で尖閣防衛を行っているとの疑念を招くのを避けるため」と説明した。
一方、中国の国際情報紙「環球時報」は25日、「両岸の尖閣防衛が協調できなければ日本はさらに増長する」と題した社説を掲載し、台湾側の対応に不快感をにじませた。