兵庫・大阪先行合併論 ~第一弾関西州の可能性~
テーマ:道州制(政策) 現在、大阪都の話題が盛んだ。地方分権や道州制の議論が盛り上がるのは結構なことだが、大阪都を論じる前に、僕の基本的なスタンスを述べておく。
道州制をライフワークとしている関係で、講演に招かれたり、地方議員の皆さんと意見交換をする機会も多い。ダブル選挙よりずっと以前から、「大阪都に移行しなくても、道州制は実現できるのではないのか」という質問をよく受けた。そんな時には、次のような見解を述べてきた。
「もし政策論だけで言えば、法改正を必要とする大阪都構想は、実現性の点からは不合格ぎりぎりの40点かもしれません。しかし、橋下改革が大きなうねりとなり、国民全体のマインドを変えるほどのものになれば、私は300点をつけます」
このブログでも書いてきたとおり、大阪都を実現する手続きを定める地方自治法改正ヘの動きが本格的なものになり、道州制への注目も高まったことを考えれば、橋下市長は見事に300点を取ったのだと思う。
一方で、地方分権に対する柔軟な感性を政治家は持つべきだと思う。
僕は道州制論者としては、大阪都論者である前に、大阪・兵庫先行合併による第一弾関西州創設論者である。
府県合併は、法改正がいらない点で、大阪都構想よりハードルが低い。さらに、兵庫・大阪には他の地域より利点が多い。例えば、関西には各県に空港があるわけではない。和歌山県の白浜空港を除けば、関西国際空港、伊丹空港、神戸空港の主要三空港が兵庫と大阪にある。つまり、兵庫・大阪の合併だけで関西地域の独自の航空行政が可能となる。さらに特別会計のあり方も含めれば、さらに大きな可能性を持つ。特に先行合併が効果を発揮する特色だと思う。
加えて、港湾行政が一体化できる点も第一弾関西州の大きなメリットだろう。そもそもGDPの点から見れば、関西は韓国に匹敵する経済力を誇るので、最早一国並みの経済力がある。税制や規制緩和で独自性を発揮できれば、関西は甦る。
また政治的な観点から言えば、関西には衆議院選挙区が48あるが、そのうち兵庫と大阪だけで31を占め、2府県で関西の3分の2を占める。本来、道州制の意義は、都府県による面的な合併効果以上に、国の出先機関を取り込む縦の改革にある。橋下・大阪市長は大阪府知事時代に「国の出先機関はすべて大阪で引き受ける」と主張した。しかし大阪だけが突出するよりは、府県合併という明治23年以来120年ぶりの府県合併を成し遂げたほうが、出先機関を引き受ける正当性は増すだろう。
広域連合に任せるよりもよほど実効性が高いし、何より第一弾関西州という東京より大きな地方公共団体を設立し、東京一極集中に対抗する最初の二極目として相応しいだろう。
「一道一都二府四十三県」から「一州一道一都一府四十二県」となるインパクトは、新たな都道府県の再編を誘発するだろう。
こうした理由から、大阪都構想がいくら先行しようと、兵庫・大阪合併論は並行しながらも十分検討に値する案だと今でも思っている。もちろん、京都など他の府県を含めて第一弾関西州ができたほうがベターであることはいうまでもない。