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同僚「前を向くしか」 人質事件の犠牲者が帰国

 半旗が掲げられた横浜市の日揮本社。25日朝、年配の男性社員は涙を流しながら、「我々は前を向くしかない。それだけです」と声を絞り出して会社に入った。同僚が遺体となって帰国した無念を抱きながらも、社員は普段どおりに仕事に向かった。

 「安否の確認が長期化する話もあったので、安心した。自分も捜しに行きたいという気持ちでいました」。アルジェリアに赴任経験があるという男性社員は、そう話した。

 「軍がすぐに攻撃するなど、想像していたこととは全く違うことが起きた。自分も関わった国で事件が起きてしまい、申し訳ない気持ち。自分たちの仕事を信じてきたけれど、何が悪かったのかと、揺らいでいる」

 「電話で悲報を聞かされた家族の皆さんを思うと言葉にならない」とうつむく女性社員もいた。

 60代の男性社員は「本当に残念。それしかない」と話した。犠牲になった元副社長で最高顧問の新谷正法さん(66)、伊藤文博さん(59)、前川秀海さん(60)と一緒に仕事をしたことがある。「この仕事、多少のリスクはつきものだけど」と口にしたあと、言葉に詰まった。同僚の帰国に、「体を張ってよくやってくれた」と小さな声でねぎらった。

 別の男性社員(62)も新谷さんをよく知る。「アルジェリアのスペシャリスト。あれだけの人が巻き込まれたのだから、想定外のテロ事件だったということだと思う」

 まだ事件を受け止められない人も多い。50代男性社員も海外出張が多い職場にいる。「自分も同じような状況に遭うことも考えられる。ただただ、ショックを受けている」

 男性社員(38)は、事件に巻き込まれながらも無事に帰国した同僚をねぎらった。「ご苦労様でしたと言いたい」と声を振り絞るように言った。「あんなに治安の悪いところでよく頑張ってくれたと思う。すごいと思います」

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