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被害者の実名 思いを共有するために 01月24日(木)

 アルジェリアで起きた人質事件で政府は、被害者の氏名の発表を渋っている。

 世界を揺るがせた事件である。手口は残忍極まりない。

 どんな人が巻き込まれ犠牲になったかの情報は、事件の本当の姿を知る上で欠かせない。テロ対策を進めるためにも必要だ。可能な限り早いタイミングで氏名を公表するよう政府に求める。

 「日揮の皆さんと相談して、公表は避けていただきたいとのことだった」。公表しない理由を問われ菅義偉官房長官は述べている。

 亡くなった人、辛くも命を取り留めた人、その家族…。厳しい状況を強いられた人たちだ。取材、報道によってさらなる負担をかけるのは、何とも忍びない。

 こんな中で、実名発表を求める趣旨の社説を書く必要が本当にあるのか―。楽屋話をお許しいただけば、論説委員の会議でも問題提起があった。

 それでもここでは、実名発表を求めたい。いちばんの理由は、事件の実態に迫るのに欠かせない情報だと思うからだ。

 昨日の朝刊に犠牲者の一人、渕田六郎さんの写真が載っている。64歳のベテランだ。床に座り、箸とおわんで食事している。

 この写真は百万言を費やすより雄弁にテロの卑劣さを物語る。見詰めていると涙が出てくる。「事実」の重みである。

 御巣鷹山の日航機事故で新聞各紙は、乗客乗員520人の情報を詳しく載せた。米国では毎年9月11日、同時テロの犠牲者全員の名前を読み上げている。一人一人の名前が悲劇を今に伝える。

 事件や事故の被害者家族の中には名前が報道されることを望む人も少なくない。あの人が生きた証しを記憶にとどめてほしい。そんな思いを口にする人もいる。

 政府や自治体、企業の間で匿名発表の流れが強まっている。一因に報道被害の問題がある。昼も夜も大勢で押しかけ、カメラを向けて質問を突きつける。メディア側にも反省点は多い。

 時の政権は自民、民主を問わず、人権擁護などを理由にメディア規制の動きをしばしば見せてきた。今度の匿名発表もその一環である可能性を否定できない。

 私たち報道機関は日本新聞協会を中心に、倫理規定をつくる、苦情処理機関を設けるといった対策を進めてきた。いまだ不十分ながら、成果は上がりつつある。

 実名で報道する意義についてご理解をいただくよう、読者の皆さんにもお願いする。

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