再生の原風景 渡良瀬
ラムサール条約への登録候補地、渡良瀬遊水地の魅力を写真で紹介
【暮らし】隠れ広告 「お薦め」に注意 ブログで紹介…実は報酬「ステマ」が昨年の「ネット流行語大賞」に選ばれた。「ステルスマーケティング」の略。見かけは広告に見えないのに、実際には報酬をもらって商品やお店などを推奨する宣伝行為のことだ。インターネット上で個人の体験やお薦め情報などを発信するブロガー(ブログの製作者)が増える中、こうした「隠れ広告」もはびこってきた。うかつに信用しないように心掛けたい。 (編集委員・安藤明夫) 愛知県内でネットによる在宅仕事をしているAさん(26)は昨年夏、ステマ目的の架空ブログにかかわった。求人サイトを通じて、宝石販売業者と原稿書きの契約を結んだときのことだ。 「パワーストーン」(特殊な力を宿すと宣伝されている宝石類など)について、五百字程度の文章を二百本書く契約で、文章の質は問わないが、特定の宝石の名前を文中に多く出すようにという条件。一本百円という低賃金だったが「これからも仕事がたくさんある」と言われ、引き受けた。その後も、ペットや化粧品の原稿依頼があり「宝石販売なのになぜ」と不審に思っていたが、やがて連絡が途絶えた。 Aさんは、自分の原稿がどんな形で使われているのかを調べ、三つのブログを見つけた。いずれも「会社員の日常」といったあいまいなタイトルで、ブロガーのプロフィル欄もなかった。毎日のようにパワーストーン、健康食品、美容用品などの“お薦め商品”やリンク先を載せており、文体はばらばらだが、字数はいずれも五百字ほど。 「業者がネット広告の注文を受けて、在宅ライターの原稿をごちゃ混ぜに載せていたようです。商品名を文中に入れるのは、検索エンジンにかかりやすくしてアクセス数を伸ばすためでしょう。知らずに悪質行為の片棒を担いでしまい、反省している」とAさん。 その後も「急募、美容関係の原稿二百本」といった怪しげな求人をサイトでしばしば見かけるが、応募していない。 ◇ 昨年十二月、京都・大阪両府警に摘発された「ペニーオークション」は、入札のたびに数十円の手数料がかかるネットオークション。実際は落札できない仕組みなのに手数料をだまし取ったとして、詐欺の疑いで運営会社の役員らが逮捕された。 この事件では、有名タレントらが「安く落札できた」などとうその情報をブログで流し謝礼を得ていたことがわかり、問題になった。アクセス数の多い有名人ブログでのステマも、後を絶たないようだ。 消費者問題に詳しい紀藤正樹弁護士(東京)は「広告方法などの規制は景品表示法だが、虚偽・誇大の広告などを規制するための法律で、ネットでの隠れ広告は想定していなかった。現状ではステマ自体を同法で規制するのは難しい」という。 米国の連邦取引委員会は二〇〇九年、広告に関するガイドラインを改定した。商品やサービスを薦めるブログ記事などを書いて、報酬を受け取った場合、広告主との関係を開示することを義務づけ、違反事例には排除命令、改善命令を出すなどの対応ができる。例えば広告主がブロガーに新製品を試して記事を書いてほしいと依頼し、ブロガーが誤った情報を発信した場合、広告主もブロガーも法的責任を免れない。事実であってもブロガーが報酬を得たことを開示していなければ、その責任を問われる。 紀藤さんは「景品表示法の対象を広げ、米国の取り組みを参考にガイドラインづくりを急ぐ必要がある」と話す。 PR情報
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