高校授業料の無償化制度をめぐり、大阪朝鮮高級学校(大阪府東大阪市)を運営する学校法人・大阪朝鮮学園は24日、「要件を備えているのに、無償化の対象にしないのは違法」として、国を相手に無償化の義務づけなどを求める訴えを大阪地裁に起こした。愛知朝鮮中高級学校(愛知県豊明市)の生徒と卒業生の計5人も同日、無償化を朝鮮学校に適用しないのは法の下の平等などを定めた憲法に違反するとして、国に慰謝料の支払いなどを求めて名古屋地裁に提訴した。
高校無償化は2010年度に始まったが、朝鮮学校については拉致問題などにからめた反対論があり、適用が先送りになっている。訴状で朝鮮学園側は、国は本来考慮してはならない外交的・政治的な理由で手続きを遅らせており裁量権の逸脱だ、などと主張。申請から2年以上過ぎても決定がないことが違法であるとの確認も求めている。
無償化をめぐっては、民主党政権が授業時間数など客観的条件を満たせば適用する基準を作ったが、10年11月の北朝鮮による韓国砲撃を受けて手続きを停止。全国10校の朝鮮学校側は同月に文部科学省に適用を申請したが、「審査中」が続いている。安倍政権は今月、省令を変えて朝鮮学校への適用を不可能にする方針を決めた。