元プロ野球選手が9人も出演する映画が今夏、公開予定であることが分かった。タイトルは「ダイヤモンド」(本間利幸監督)。主演は1970年代後半からの広島黄金時代を支え、引退後は千葉ロッテのコーチなどを務めた高橋慶彦氏(55)。弱きを助け、強きをくじくヤクザ組織が、地元の商店街を守る姿を描く作品だ。他にも元巨人の元木大介氏(41)、元オリックス・パンチ佐藤氏(48)ら、往年の球界の人気者が勢ぞろいする。
かつて、野球場を沸かせたプロ野球選手9人が、新たな「ダイヤモンド」で輝きを見せる。
今回の企画のスタートは製作陣の「ハリウッド映画の『エクスペンダブルズ』のように、スターが勢ぞろいした映画を見てみたい。それがプロ野球の選手だったらどうだろう?」との思いからだった。製作・配給の「オールインエンタテインメント」の関係者によると「だったら、野球チームと同じ9人は絶対に出演してもらおう」と、さまざまなツテを頼って元選手に依頼。その結果、今回の顔ぶれが出演を快諾、決して“こわもて”を優先したわけではない。
スタッフにもこだわった。今月26日に公開される「ストロベリーナイト」(主演・竹内結子)などの助監督を務め、今回が初メガホンとなる本間監督は元野球少年。高校(東京・京華高)時代は投手で、広島からスカウトが視察に来たほど。撮影や照明などのスタッフも、男性はほぼ全員が野球経験者だ。
テレビのバラエティー番組の出演経験はあるものの、演技をするのは初めてだった高橋は「難しかった。アクションがあったので、特に動きが入った時には覚えていたはずのセリフが飛んでしまったりして、悔しかったね」。1979年に33試合連続安打の日本記録を打ち立て、俊足・好打の名選手として鳴らした男も、“本職”ではない仕事に悪戦苦闘。しかし、俳優陣からは「野球選手の方が一生懸命で、こっちも初心に帰るような感覚で、いい経験をさせてもらった」との声が上がった。
多くの元選手との共演については「全く違う世界で交わって、不思議な気分だった」と高橋。ヤクザ組織が草野球チームを結成している―との設定から、プレーするシーンもあるが、選手当時のことは全く頭に浮かばなかったという。
劇場に足を運ぶファンに向けて、高橋は「素人がやってると思って、我慢してください」と苦笑いを見せたが、「もうちょっと時間に余裕が欲しかった」とも。今回の出演を機に、俳優業にも興味を持った様子だった。
◆「ダイヤモンド」 とある下町のヤクザ組織「北野組」。組員は皆、昔かたぎの任侠(にんきょう)心があり、元プロ野球選手の若頭・西田(高橋)を中心とした草野球チームは地元の人気者だった。が、時代の波にのまれ、徐々に敬遠されるように。そんな時、町の商店街に再開発の話が持ち上がり、反対運動をしていた商店街会長の遠藤(松永)が謎の死を遂げる。バックに関西の新興組織・藤波組の存在を知った北野組の面々は、藤波(愛甲)の元へ乗り込んでいくのだった…。
[2013/1/25-06:05 スポーツ報知]