「これは宮本(茂専務)と何年もずっと話していて、(マリオシリーズや『どうぶつの森』など)宮本が作る任天堂の商品が世界中でうける理由は、共感ということに尽きるなと。宮本が好きなものは、共感されるもの、共感できるもの。そういうことを感じていた時に、ミーバースの原型の提案をうけて。あ、これは共感ネットワークだなと」
■任天堂版ソーシャルゲームのインフラへ
「じゃあ共感をテーマに、ゲームを1人で遊んでいる人が孤独を感じず、みんなで楽しめるものにしよう、みたいなことでできたのがミーバースだった。そのためには、ゲーム機のプラットフォームの中で一貫して、一体化して提供する必要があったんです」
ミーバースに参加していない人にも共感を広めるために、いずれ、ミーバースの投稿内容はパソコンやスマホから見られるようにしていくと岩田社長は話す。「まだ時期を具体的には言及でないが、遠い先ではない」。さらに、3DSにもミーバースを広げていく考えだ。
昨年11月発売の3DS向け「とびだせ どうぶつの森」は、今年1月6日までに260万本以上が売れる大ヒットとなった。ユーザーは、ツイッターなどで面白さを共感し合い、ゲームの中でも交流して楽しんでいる。いわば、任天堂が考える「ソーシャルゲーム」の一つだ。
岩田社長はいう。「もし、3DSにミーバースがあったら、大変なことになっているだろうなと。いずれ、ミーバースとどうぶつの森が一体化したら、もっとすごいことを起こせるチャンスがある」
ゲーム人口拡大を起点とし、考え抜いて作られた2画面のWii U。そして、プレー以外の時間も共感でつながり、楽しめるよう作られたミーバース。共通するのは「もう一度、本当のゲームに没頭してほしい」という熱く、強い思いだ。
■任天堂が守り抜く不文律
しかし、ゲームに夢中になってくれるのはいいが、娯楽が過ぎて依存してしまう存在になり、家族の嫌われ者や社会悪になるのだけは避けたい。常にゲームというものについて回る「夢中になる喜び」と「過度の依存」という難しいバランスをとる最適解を、任天堂は今回のWii Uで示したといえる。その根底に流れるのは、「健全で楽しい娯楽の世界、笑顔を守る」という任天堂の不文律である。
任天堂は、とにかく客が泣いたり傷ついたりすることをよしとしない。ひたすらに笑顔を追求する生粋の娯楽企業だ。任天堂の創業家、山内溥(ひろし)前社長の時代から流れる通奏低音のようなもので、その考えは岩田社長に引き継がれた。
DSやWiiの設計思想の根底は、お母さんやお父さんを敵に回さないこと。あえて、ゲームのやり過ぎを抑制する仕組みも取り入れた。いかに客を依存させるか、いかにお金を使わせるか、を競い、急成長した、いわゆるソーシャルゲームの世界とは、考えが根本から異なる。
例えばソーシャルゲーム各社は、ゲームを通じて援助交際などの被害に遭う未成年児童数が増え、警察当局から「警告」を受けてから、ゲーム内でやり取りされるメッセージの監視・削除を始めた。動きが遅かったグリーはピーク時、発覚しただけでも半期で数百人もの被害児童がいた。未成年者が数十万円も課金してしまい、社会問題化しているのは周知の通りである。
岩田聡、Wii U、Wii、DS Lite、iPad、任天堂、ゲームパッド、メディアクリエイト
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