「でも、そうなるとテレビって共有物ですから、ゲームをしない人にとってゲームをする人は邪魔なんです。ジレンマですね。だから、Wii Uを作るにあたって、テレビを見たいから邪魔だっていわれた時にどうしよう、というのがすごくあった。(社内の議論で)いろんな解決案が出た中で、ゲームパッドにまとまっていったんです」
■未来のテレビ「スマートテレビ」の先取り
家族や友だちをリビングルームに集め、みんなで会話しながら一緒になって楽しむゲーム機。考えてみれば、「ファミリーコンピュータ」の時代はそうだった。いわばリビングルームでの交流を促す「ソーシャルゲーム機」が、Wiiの目指すところだった。
ところが、ゲーム画面が大型テレビを占有することで、不平不満を抱える家族も出てくる。であれば、ほかの家族がテレビを見たい時は、ゲームの続きをリビングに残ったまま手元の画面で楽しめるようにすればいいのでは、という発想がWii Uの起点だった。岩田社長は続ける。
「ゲームパッドを考えついた頃、私は絶対に未来のテレビのリモコンも、ゲームパッドのように画面の付いたものになるんだとも思いました。いわゆるスマートテレビですね。テレビでインターネットを見られるようにしようという試みはずっとテレビ屋さん(メーカー)がされてるんですけれど、決定打がないのは、普通のリモコンで文字入力をするのがたまらなくつらいからなんです。手元で字を読んで、ぱっと触って、タイプして、っていうリモコンは、まだない」
「で、テレビって買い替えサイクルが短くても5年。長くて10年ですから、多くの家庭がこのあいだ買い替えたばかりで、当面、すぐにはスマートテレビへの買い替え時期は来ない。そう考えているうちにね、ああ、これは(ゲーム機で)未来のテレビの先取りをすればいいのか、ということを同時に思いつくわけです。リビングのテレビを使った娯楽体験全体を変えられると」
■「みんなで見たら面白いものが、ネットにはたくさんある」
「みんなで見たらもっと面白いぞ、というものがネットにはたくさんあるわけです。動画サイトも、買い物をすることも、旅行の計画を立てることも、この1月に始めますけれどグーグルマップの『ストリートビュー』を見ることも」
「そしたら、これらもまとめて娯楽にできたら、自分はゲームにいっさい興味がないっていう家族の人も、Wii Uっていうのは隅に置けない存在になるというか、自分に関係があるものになるなと」――。
12年6月、世界最大のゲーム見本市「E3」で任天堂はWii Uを初披露。「テレビと手元の画面、2つの視点をプレーヤーに提供することで、まったく新しいゲームの体験を提供できる」とプレゼンテーションした。
すると、一部メディアは「ゲームパッドは機能が多く、初心者が使いこなせるか不安」「2画面を使った複雑なゲーム体験が初心者離れを引き起こす」などと酷評した。
DSとWiiでライトユーザーの取り込みに成功した任天堂が、今度はゲーム好きのヘビーユーザーを満足させる方向へ変節したと見る向きも多い。しかし現実は、違った。岩田社長は改めて宣言する。
岩田聡、Wii U、Wii、DS Lite、iPad、任天堂、ゲームパッド、メディアクリエイト
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