がん再発防止の新薬 臨床試験申請へ1月24日 13時37分
がんを作り出すと考えられている細胞「がん幹細胞」を直接攻撃し、がんによる死亡の大きな原因となっている「再発」を防ぐ新薬を実用化しようと、大阪の製薬会社が近く臨床試験の申請を行うことが分かりました。
新薬が誕生すれば、がん幹細胞をターゲットにした世界初の薬になるということです。
大阪・中央区の大日本住友製薬は、大腸がんのがん幹細胞をターゲットにした新薬の開発を北米で進めていて、日本でも新薬の承認を目指し、ことし3月末までに厚生労働省に臨床試験の申請を行うことが分かりました。
「がん幹細胞」は、この十数年ほどの間に大腸がんのほか、乳がんや肝臓がん、胃がんなどで次々と報告されていて、抗がん剤や放射線治療が効きにくいなどの特徴から再発を引き起こし、がんによる死亡の大きな原因になっているとされています。
今回の新薬は、がん幹細胞に特有のタンパク質の働きを止め、細胞を死滅させる効果があるということで、北米で行った臨床試験では、重い副作用がないことやがん細胞の増殖を抑える効果が確認できたということです。
新薬が誕生すれば、がん幹細胞をターゲットにした世界初の治療薬になるということで、大日本住友製薬では、「順調にいけば、アメリカとカナダでは平成27年に、日本では翌28年に販売が開始できるようにしたい」と話しています。
これについて、がん幹細胞の研究に詳しい大阪大学大学院医学系研究科の森正樹教授は、「今のがん治療は、抗がん剤で一時的によくなることはあるが、がん幹細胞が残るため、いずれは再発してしまう。
このため、がん幹細胞を標的にした新薬の開発が今、世界中で行われているが、まだ使えるものがない。
患者の中には、再発におびえながら生活する人も多く、がん幹細胞をたたく薬が出来れば、安心して過ごせるようになる」と話しています。
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