アルジェリア拘束:「政府頼りない」日揮OB

毎日新聞 2013年01月21日 19時53分(最終更新 01月21日 23時43分)

新たな安否情報がないことを記者会見で説明する日揮の遠藤毅広報・IR部長(右)=横浜市西区で2013年1月21日午後3時22分、丸山博撮影
新たな安否情報がないことを記者会見で説明する日揮の遠藤毅広報・IR部長(右)=横浜市西区で2013年1月21日午後3時22分、丸山博撮影

 アルジェリアの人質事件で、日本政府が日本人7人の死亡を確認した。事件発生から時を置かず、アルジェリア政府が武装組織の掃討に乗り出したが、知らされた結果はやはり厳しいものだった。プラント大手「日揮」(横浜市西区)の幹部らの祈りは届かず、OBは「政府は当てにならない」といらだちを口にした。海外業務で危険に遭遇した時、国や企業は守ってくれるのか。

「日本政府は頼りない」。アルジェリアで勤務したことのある日揮の元社員の男性は本音を口にした。この元社員は長くアルジェリアに関わり、中北部ハシメサウドなどでプラントの維持管理などの業務に従事した。当時もイスラム原理主義者の活動が激しく、現場はアルジェリア軍が警備。日揮社員のセキュリティー担当者が常に軍と連絡を取り合っていたという。

 「米英仏政府は紛争地域の厳しさを知り、事件が起きた時の交渉力もあって信頼できた。日本政府は日揮よりもアルジェリアの情報に乏しく、有事に当てにならない」。社員を含む人質多数が犠牲になったとみられる状況への無念さも手伝い、厳しい言葉を口にした。日揮は社長、会長が直轄するセキュリティー対策室を設けて、国別の情報を分析。社内に周知している。

 日揮と同様、エネルギー関連事業などで危険な地域で活動する企業は少なくない。

 内閣官房のテロ対策研究会委員を務めた財団法人「公共政策調査会」の河本志朗・第2研究室長は「日本の経済の繁栄を支えてきた企業の方が犠牲になり、残念の極みとしか言いようがない。100%防ぐことは難しいが、二度とこのようなことが起きないよう、官民の情報の共有など、対策を真剣に議論すべきだ」と強調した。

 企業に対しても「社員が危ないと判断したら撤退を助言するような危機管理の専門部署が必要だ」と指摘したが、それでも「一企業ができることには限界がある」と対処の難しさを語る。国連の職員は紛争地への赴任前にテロ対策の訓練を受けることもあるというが、企業でも検討が必要になるかもしれないという。

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