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【グラニュース】


本音ズバリ36歳同級生対談<前編>

2013年1月24日 紙面から

 名古屋グランパスのGK楢崎正剛(36)が28日のチーム始動日を前に、新しいシーズンへの思いを語った。グランパス、日本代表で一緒にプレーした本紙Jリーグコメンテーター、米山篤志氏(36)との同級生対談。前後編にわたって、これからのグランパス、サッカー界、そして限りある選手キャリアについて、楢崎の本音に迫る。

 米山「もうすぐ新しいシーズンが始まるけど、ナラは19年目でしょ。人生の半分以上がプロ生活って、すごいところまで来たよね」

 楢崎「来ちゃったね。同い年で現役は、吉田(神戸)、鈴木隆行(水戸)くらいかな。プロに入ったころは、最後まで残るのは誰かって話をしたことがあったけど、こんなふうになるとは思いもよらへんかった」

 米山「オレは去年、監督(東京23FC=関東社会人1部)やったり、いろいろ勉強になったけど、ナラは次の人生を気にしなくてもいい域まできてるから」

 楢崎「気にするよ。タイムリミットが迫ってきてるから。メンタルは大丈夫だけど、体の限界はあるやろうし」

 米山「フィールド選手は、30歳で大台に乗った感覚があって、あと何年できるかとか考えるようになるけど、GKってどうなの」

 楢崎「あるよ、そら。体のことはともかく、30歳でサッカー界でのポジションを考えたかな。33歳でもう1回、次が35。そこから先は1年ずつやね(笑)」

 米山「それって、年齢という数字だけで、内部的に変化があるわけじゃないでしょ」

 楢崎「確かにないけど去年、膝をやっちゃった(左膝手術)から、ちょっと心配」

 米山「膝はオレも苦しめられた。これで膝仲間だね。大事にしてよ」

 楢崎「膝って、致命的なケガっていうイメージがあるから。足首とかよりも。でも、長いことやって、いろんなケースを見てきているから、重いか軽いか、どうしたらいいか何となく分かる部分もあって、そんなには心配してへん。プロに入りたての時だったら、さっぱり分からんかったけど、長くやって得することもあるなって」

 米山「ナラみたいな本物の選手が少しでも長くプレーして、サッカー界の価値を上げてほしいな。プロって、身近に感じるプロもいれば、はるか上の憧れの対象のような存在もいる。楢崎正剛的には、どちらであるべき?」

 楢崎「(手を上げて)そりゃ、こうでしょ」

 米山「オレは名古屋で2年プレーしたけど、当時の本田圭佑は、特別いい選手ではなかった。今は、ものすごくいい選手。若いころから、雰囲気が違ってたと思うけど、本田の変化をどう感じる?」

 楢崎「あのころは、口だけ一人歩きしてたけど、だんだん実力が追いついてきた。あいつ、賢い。野心があったんでしょ。わざと大きなことを言ってるところがあったけど、言ったらやらなアカンからね」

 米山「ぶれなかったのはすごい」

 楢崎「貫いたね。そのうち実力でたどりついて、あの口でみんなを引き寄せるところまできたね。本田のスタイルは認めているけど、今でも会えば、バカにしてる」

 米山「先輩が褒めるだけじゃ、本田も成長していかなかっただろうし、これから伸びるためにも、厳しく言うことは大事だよ。あの時は(藤田)俊哉さんもいたしね」

 楢崎「秋田(豊)さんもね。(吉田)麻也も、本田と同じような強さがあった。バランス取るタイプだけど」

 米山「この2人が今や代表の主力級。オレも代表に戻ってやろうかなんて思わない? ウズウズするでしょ」

 楢崎「しない。もう1回、一緒にやってみたいという気はするよ。時間を置いて、どんなふうに変わったか感じたい。どこのチームでというのはないけど」

 米山「じゃあ、海外のクラブで挑戦する? 名古屋でずっとプレーして、今から他のクラブでやるってことは考えないの? フリューゲルス(横浜F、98年消滅)は何年だっけ」

 楢崎「4年。横浜を離れたとき、フリューゲルス以外に、愛着があるチームなんてないと思ってたから。こんな長く名古屋にいるとは思わんかった。名古屋にきた時は、次にまたどこか行くんだろなという感じやったから」

 米山「グランパスで最後を迎えることになるのかな。プロ入りしたころと比べて、世の中で、サッカー界やサッカー選手のポジションは変わったと思う?」

 楢崎「あんまり変わってないね。日本代表の選手が有名になったというのはあっても、地位とはまた違う。イタリアに行った時、日本のプロサッカー選手だって分かったら、『すごいな』って目で見てたからね。オレら東洋人がだよ。イタリアとは歴史が違うかもしれんけど。子どもたちと練習してたら、お母さんたちのほうが熱くなって、オレたちを見てるからね。こっちが変に勘違いしそうなくらい(笑)。サッカーが、社会のなかで高いところにあるんだなって感じた。日本でも、香川や長友が出てきて少しずつ変わっている感じはする。だから、もっと良くなるために、続けていくしかない」

 米山「新しい選手が出てきて変わることもあるし、一流の選手が長く続けてサッカー界を変えていくこともある」

 楢崎「長いことプレーする価値を見せなあかんって思うよ。サッカー選手って寿命が短いし、中途半端な年俸で、セカンドキャリアも心配せないかん。だから頑張れば、サッカーは長く続けられるってところを分かってもらえれば、夢を与えることにもなる。カズさんみたいに。じゃないと、サッカー選手になりたいって言ってもらえない。そんなふうに考えてると、あんまり早く辞められんなって」

 【楢崎正剛(ならざき・せいごう)】 1976(昭和51)年4月15日生まれの36歳。奈良県出身。187センチ、80キロ。奈良育英高から95年、横浜F入り。98年に横浜Fの消滅に伴い99年、グランパスに移籍。2001年から現在まで主将を務める。J1初優勝した10年、GKとして初めてJリーグMVP。日本代表では98年W杯フランス大会から4大会連続参加。唯一出場した02年日韓大会では、日本のW杯初勝利、初の16強入りに貢献した。家族は妻と2男。

 【米山篤志(よねやま・あつし)】 1976年11月20日、宇都宮市生まれの36歳。桐蔭学園高から駒大に進み、1998年、V川崎(現東京V)入りしDFで活躍。2007年から2年間、名古屋グランパスでプレー。昨年、東京23FC監督に就任。日本代表1試合。J1通算244試合14得点。

 

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