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オフィス製品関連
そのような中でMMI的な観点でのデザインガイドラインを整備しながら中長期的に耐えうるGUIデザインを構築しました。ハードインターフェイスがソフトインターフェイスになって使いにくくなったとユーザに評価されないようさまざまな工夫を行って来れたことは大きなキャリア形成につながったと思います。
- デジタル複合機本体GUI "MEDIO" to "imageRUNNER"
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多機能化に伴い特に「基本機能」の精査を注力しました。あえて余白のある状態をデフォルトにすることで心理的な簡便さを演出しつつ、タッチパネルに起こりがちな誤操作が発生しないピッチでボタンを配置しました。上段の画面と中断の画面は、開発システムが進化し、デザイン図通りの実装がより確実に行える専用ツールが整備され、同時に国内優先のフォントサイズを見直し、文字情報の地域差が起こりにくい基準を構築しました。しかし、操作性のコンセプトや仕様はそのまま継承することで、操作性の変化がマイナスイメージになるオフィス市場に対して配慮しました。その直後、タッチパネルではなくディスプレイの周囲にハードキーが設けられている操作パネルの製品でもほぼ同様の操作性を維持したものをデザインしました。
- デジタル複合機本体GUI "Lawson Self Copier" 第一世代:モノクロGUI
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国内コンビに大手(No.2)Lawsonと独自契約を交わし、オフィス向けの画面をカスタマイズしたものです。フローも独自で現職では珍しいキャラクターが画面上で動きます。キャラクターを提案した理由は、市場調査で何十件とコンビニを観察していく中で、コピー機の前で固まっている利用者がとても多かったことにあります。何か出来ないかと考えた末「画面が止まっているから一緒に止まってしまうんだ」と仮設して画面上のどこかボタンの邪魔にならないエリアを使ってキャラクターを動かすことにしました。操作フローのカスタマイズに開発を注力させつつユーザのために一工夫盛り込めたことがプロジェクトチームに貢献できたことが大変うれしかったです。
- デジタル複合機本体GUI "Lawson Self Copier" 第二世代:カラーGUI
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第一世代の成功を受け、第二世代はオフィス向け開発とほぼ並行してLawson対応モデルが開発されました。主軸であるオフィス向け開発と時期を同じにすることで開発リソースを最適化することが可能となりデザインサイドも両軸のバランスをとりながら活動しました。今回の目玉はなんと言ってもカラー画面です。ですがエンターテイメント性の必要がない複合機にとってGUIの負担は大変重いものとなっていました。結果的に仕様で切るカラーはデザインが最低限必要と選定した16色となり、それをうまく市松模様組み合わせ見た目のカラーを充実させながら何とか彩り豊かなGUIを仕上げることができました。Lawsonモデルとして前世代から改善したのは、長年わかりにくいとされている用紙のセットやその向きに関する補足情報のイラスト、そして、原稿を置き忘れする利用者がとても多いということでタスク完了時に利用者に注意を喚起する画面を追加で実装したことです。双方とも市場の声を積極的に取り入れることが成功につながると信じて磨きをかけてきました。そして、この製品はLawson以外にもミニストップやLawsonの親会社ダイエーに広く設置されコンビニの店数ではセブンイレブンよりも少なかった稼働台数が大きく伸び、おそらく世界一の台数になっていると思います。その成果から社長賞をいただきました。
- 複合機/プリンタ Webツール "RemoteUI"
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オフィス用の複合機/プリンタは利用者とネットワーク接続で使用されているため、自席から離れた場所に設置されることがあります。そのため、製品の紙の残量などステータス(LEDの点灯)がわかりません。このような利用形態に対してネットワークを通じて情報をやり取りするツールが必要とプロジェクトが発足しました。技術検討の結果、フリーウエアのように誰でも使えることと利用者全員がPCにインストールをしなくてよいということからWeb型アプリケーションが採用されました。ページデザインはマニュアルなしでも使えるシーンプルなサイト構造を目指し、オーソドックスな左メニューと広いコンテンツエリア、どのページも一貫したレイアウトにすることで学習負担の軽減と速やかに求めるページに遷移できる自社としてスタンダードモデルとなるものに仕上げました。実際の実行プログラムは各デバイスに実装されるため開発されるデバイスプロジェクト毎に業務が発生するため、仕様やユーザビリティが乱れないように心がけつつ、適時改善案を提案してその導入の足並みを揃えることに多くの時間を費やしてきました。
- 複合機/プリンタ Webツール "RemoteUI" Web アクセシビリティ対応
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近年、ユニバーサルデザインへの対応が必須となり、RemoteUIもアクセシビリティ対応をすることとなりました。アクセシビリティ対応としてデザイン業務が最も影響を受けるのは、CSSの導入でした。下図は、CSSの適用非適用時のイメージです。CSS導入によってHTMLはシンプルな構造(特に情報が一元的に配置されることが重要)になり、音声読み上げに負担の少ないこれまで以上に幅広いユーザに利用してもらえるものになりました。
- Java型オープンプラットフォーム "MEAP"
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デジタル複合機は全世界に広く販売され、その機能の多さやタッチパネルUIによる使い勝手への認識の向上から、さまざまな要求が舞い込むようになりました。特に各国ディーラーからの要求は強く、そしてその要求は多岐にわたるものでした。そのすべてに開発計画として対応するのはナンセンスということで、そういった個別ニーズに対応できるようアプリを追加インストールできるようにカスタマイズ向けのプラットフォームを開発することになりました。そして、そのプラットフォーム技術そのものを積極的にアピールすることで新たな市場を開拓することを目指し、技術名にロゴを策定しました。その技術ブランドをどのように扱うかという課題に対し、私はそれぞれのアプリケーションカラーをマルチカラーのグラデーションで表現し、そしてロゴの部分をブラックにしてグラデーションでつなげるというシンプルで明快なグラフィックブランディングを実践しました。デジタル複合機本体の画面とリモートで動作するWebアプリケーション画面双方で扱いやすく、新しいプロジェクトが増えても短時間でグラフィック作業を終え、アプリケーション独自の操作性や機能提案に注力することができました。
その他の製品
現職は多岐にわたる事業の集合体のため、常に新しい事業化が進められております。そういった実験的なプロジェクトが私に回ってくるようになりました。コンピュータに詳しく、マルチメディアに関する知識と経験が比較的豊富だったためだと思います。
そのため、世に出ることなくプロジェクト停止になったものも多く、公にできるものは数が少ないです。右も左もわからない技術の卵と関わらせてもらったのは自身のスキルアップに多いに貢献したと思います。
- 自社初のフルドット液晶搭載ファクスホン ""
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オフィス系業務で得た通信技術の知識とユーザビリティの要点を活かして、ターゲットを家庭にしたGUIをデザインしました。
- コンシューマ向けフラットベッドスキャナ機能支援ツール "ScanToolBox 5.0"
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ここ数年、市場においてフラットベッドスキャナは2強体制となっており、性能だけでなくハードのスタイリングの競争もし烈な中、ソフトウエアツール関係は、ハードと違いバージョンアップ対応で目新しい要件はなかなか出来ないものでした。その中でこの"ScanToolBox 5.0"はハードに搭載されるキーと連動するセミオート機能が主仕様となっており、他のツールにくらべハードとの連携が重要な業務でした。アイコン表現の作り直しを中心にソフトとハードのマッチングに努めた業務です。
- 半導体製造機器アッシャー "SURPASS 3000"
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私が担当した製品の中ではずば抜けて高価な製品でした。受注生産で数億円ということでGUIに関するコストが全く気にならないことから当時としては最大のSXGAタッチパネルとフルカラー表示が可能となり、デザインによる商談アピールを強く期待されたのが思い出されます。機器が基本的にクリーンルームで使われ、ブラックボックスであるためGUIの基本構想は3DCGによる内部状態の仮想的に表現し、実際の動作イメージをアニメーションでユーザに提供することで動作の正常/異常やタスクの段階をビジュアルに表現するを実現しました。商談での成果は大きかったそうです。