新たに日本人２人の死亡確認…アルジェリア人質事件

　菅義偉官房長官（６４）は２３日夜、アルジェリア人質事件について首相官邸で会見し、安否不明だった日本人３人のうち新たに２人の死亡が確認されたと発表した。いずれも、現場となったガス田施設を運営しているプラント建設大手「日揮」（横浜市）の男性社員。邦人犠牲者はこれで計９人となった。政府は、残る１人の安否確認に全力を挙げる。また、死者・行方不明者に同社最高顧問の新谷正法さん（６６）が含まれていることも明らかになった。

　菅長官によると、今回の２遺体は首都アルジェに搬送された「国籍不明」の遺体を、日本政府関係者らが調査。最終的に、無事だった日揮の同僚らが確認した。菅長官は、「尊い人命が奪われたことは誠に深い悲しみであります」と沈痛な面持ちで述べた。

　安倍晋三首相の特使として首都アルジェに入っていた鈴木俊一外務副大臣は日本時間２３日夜、アルジェリアのセラル首相と会談。被害者らの帰国と不明者の安否確認に協力を要請した。残る１人の安否や事態の全容、日本人人質の死亡時の状況に関する情報提供を求めたのに対し、セラル首相は「できる限りの協力を行いたい」と述べた。鈴木氏は安倍首相からアルジェリアのブーテフリカ大統領宛ての親書も渡した。

　政府専用機は無事だった日本人７人や、犠牲者の９遺体を乗せて帰国する。ただし、アルジェでの着陸時に落雷を受けており、飛行機への影響を点検するため、同国を出発するのは早くても日本時間２４日午前１０時頃になる見通しだ。

　政府などは公表していないが、関係者への取材で既に渕田六郎さん（６４）の死亡が確認されていたが、今回、内藤文司郎さん（４４）の死亡が日揮から家族に伝えられた。２４日未明に記者会見を開いた日揮の遠藤毅広報・ＩＲ部長は「（連絡の取れない外国人も含む）残る５人の安否確認に今後も全力を挙げたい」と話した。

　一方、警察庁などと連携し、刑法の「国外犯規定」に基づき、今回の事件を殺人や逮捕監禁容疑などで捜査している神奈川県警は、日本人犠牲者を司法解剖する方針。同県と東京都の病院に搬送することで調整している。

（2013年1月24日06時05分スポーツ報知）