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糸井をメジャー挑戦で失うなら…日本ハム トレード決断のワケ

トレードでオリックスに移籍する糸井
トレードでオリックスに移籍する糸井
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 キャンプイン直前の球界に衝撃が走った。日本ハムの糸井嘉男外野手(31)、八木智哉投手(29)とオリックスの木佐貫洋投手(32)、大引啓次内野手(28)、赤田将吾外野手(32)の2対3のトレードが成立し、23日に両球団から発表された。先発と内野手の補強を狙う日本ハムは、今季終了後にポスティング・システム(入札制度)を利用してメジャー挑戦する意思を球団に伝えたばかりの糸井を放出。中軸が打てる外野手と先発左腕を求めるオリックスと電撃的にトレードをまとめた。

 まさに急転直下の成立だった。キャンプインまであと9日。チーム構想はまとまり、キャンプの強化方針も固まったこの時期に、日本ハムは不動の「3番・右翼」を同一リーグへ放出した。

 「ここに来て急にまとまった。球団の戦力としてある程度、先を見据えた結果」。ある球団幹部はそう説明した。「ある程度の先」とは、糸井がメジャー挑戦の意向を持つ来季以降のことと推測される。日本ハムはこれまで球団方針としてメジャー挑戦を容認。FA移籍も含めて「去る者追わず」の姿勢で、従来の方針通りなら糸井は来季は失う戦力だった。そこで大幅な戦力ダウンは覚悟の上で、今季は若手の育成を重視。同時に即戦力外野手として赤田を獲得した複数トレードは、来季の戦力ダウンへ未然の対処策とも言える。

 チーム強化を短期、中期、長期に分けて計画的に進める日本ハム。WBCでは侍ジャパンの主力として期待され、営業面への影響も懸念される人気者の放出という大英断について、山田正雄GMは「大きな意義があるトレードと判断した。中長期に戦力バランスを整えていく上でも非常に価値がある」と話した。

 とはいえ、糸井は栗山監督が「球界No・1の外野手」と評価するチームの柱だ。そんな主力を含む大型トレードを同一リーグで行うのは異例中の異例。過去に、パ・リーグでは93年の西武・秋山、ダイエー・佐々木ら3対3の大型トレードがあるが、成立は11月16日だった。それが今回はキャンプ直前、駆け込みでの成立。今オフ、糸井は契約更改交渉で折り合わず代理人交渉中で、21日には球団側へ今季終了後に入札制度によるメジャー挑戦の意思を伝えていた。それからわずか2日後の電撃発表。ダルビッシュ、田中と主力の海外流出が続いた中、糸井放出をめぐる球団側の事情が如実に表れていた。

 メジャーという夢を抱いて移籍する糸井は「寂しい気持ちでいっぱいですが、この世界では当たり前のこと。ここまで来られたのはチームやファンのおかげだと思っています」と話した。ただ球団側が主導権を握れるのが入札制度。最下位からの脱出を目指すオリックスには絶好の補強となった。

 ▼日本ハム・栗山監督 昨年のリーグ優勝に貢献してくれた八木、糸井がチームを離れ、監督としてこれほど悲しいことはない。一方で他球団で活躍してきた選手たちが加わり、チームの活性化につながると信じている。

 ▼日本ハム・八木 7年間、ファイターズでプレーできたことは財産。優勝チームでプレーでき、今はいい思い出ばかり。心機一転、頑張る。

 ▼オリックス・木佐貫 驚いている。ジャイアンツから拾ってもらった中、チームの成績といったところで貢献できず、申し訳なく思っている。

 ▼オリックス・大引 今は正直寂しい気持ちが大きいが、しっかりと心の整理をつけて新天地で頑張ろうという思いです。

 ▼オリックス・赤田 同じパ・リーグのチームへの移籍。オリックスの選手との対戦を楽しみに新天地でも頑張る。

 ◆糸井 嘉男(いとい・よしお)1981年(昭56)7月31日、京都府生まれの31歳。宮津では甲子園出場なし。近大では4年春に5勝を挙げMVP。03年ドラフト自由獲得枠で投手として日本ハム入団。06年途中に外野手に転向、09年から4年連続で打率3割をマークし11、12年に最高出塁率。ほか09、11、12年ベストナイン、09〜12年ゴールデングラブ賞を受賞。1メートル87、88キロ。右投げ左打ち。

 ◆八木 智哉(やぎ・ともや)1983年(昭58)11月7日、神奈川県生まれの29歳。日本航空では3年夏に甲子園出場。創価大では東京新大学リーグで通算35勝。4年時に全日本大学選手権で大会新の1大会49奪三振。05年ドラフト希望入団枠で日本ハム入団。1年目の06年に12勝8敗で新人王を獲得した。1メートル81、78キロ。左投げ左打ち。

 ◆木佐貫 洋(きさぬき・ひろし)1980年(昭55)5月17日、鹿児島県生まれの32歳。川内では甲子園出場なし。亜大では4年時に東都大学リーグで春秋連覇、大学選手権、明治神宮大会も制し4冠。02年ドラフト自由獲得枠で巨人入団。1年目の03年は10勝7敗で新人王を獲得。09年オフにオリックスにトレードされた。11年には初の開幕投手を務めた。1メートル86、84キロ。右投げ右打ち。

 ◆大引 啓次(おおびき・けいじ)1984年(昭59)6月29日、大阪府生まれの28歳。浪速では2年春に甲子園ベスト8。法大では1年春から全試合スタメンで出場し、2度の首位打者を獲得。06年大学・社会人ドラフト3位でオリックス入団。昨季は腰痛などで110試合の出場にとどまり、打率・224と低迷した。今季から選手会長就任が決定していた。1メートル78、80キロ。右投げ右打ち。

 ◆赤田 将吾(あかだ・しょうご)1980年(昭55)9月1日、鹿児島県生まれの32歳。日南学園では2年春と3年夏に甲子園出場。高校通算49本塁打。98年ドラフト2位で西武入団。2年目の00年に内野手から外野手に転向。07年から3年間、選手会長を務めた。10年にオリックスにトレード。昨季は26試合の出場で打率・139。1メートル79、83キロ。右投げ両打ち。

 【主な大型トレード】

 ☆阪神・江夏ら2人←→南海・江本ら4人(76年1月)江夏は野村選手兼任監督のもと、先発からリリーフとなり新境地を開拓。

 ☆阪神・田淵ら2人←→クラウン・真弓、若菜ら4人(78年11月)守備の衰えが指摘された田淵が、新球団・西武の目玉として主にDHで活躍。

 ☆ロッテ・落合←→中日・牛島、上川ら4人(86年12月)2年連続3冠王・落合のセ移籍は世間に衝撃を与えた。

 ☆西武・秋山ら3人←→ダイエー・佐々木ら3人(93年11月)清原とAK砲を組んだ秋山が地元の九州へ。常勝軍団・西武が転換期を迎えた。

 ☆巨人・二岡ら2人←→日本ハム・マイケルら2人(08年11月)坂本の成長で控えに回った二岡は新天地で代打の切り札に。06年セーブ王のマイケルは中継ぎとなった。

[ 2013年1月24日 06:00 ]

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