【ロンドン=伊東和貴】英国のキャメロン首相は23日、ロンドンで演説し、2015年の次期総選挙で政権の継続が決まれば、欧州連合(EU)からの脱退の賛否を問う国民投票を17年末までに実施すると表明した。EUに委ねている行政権限の一部返還を迫る方針も示した。
ユーロに参加しない英国では、欧州危機をきっかけに、EU脱退か否かで世論が二分されている。すぐ投票に踏み切れば脱退が現実になる可能性があるため、時間をかけてEUに譲歩を迫り、脱EU論を鎮めるのがキャメロン氏の狙いとみられる。
ただ、危機を防ぐため、ユーロ圏の銀行監督の一元化など統合を加速させているEUが、結束に逆行する英国の要求に応じるかは不透明だ。もし、英国が脱退すれば、EU、英国ともに国際社会での影響力の低下は避けられず、米国も懸念を強めている。
演説でキャメロン氏は、EUが抱える課題として、ユーロ危機、EUの規制による競争力の低下、市民への説明責任の欠如などを列挙。このままでは「欧州は失敗し、英国民が(EU)退場へ流される危険がある」と指摘した。
英国が欧州統合の是非を問うのは、欧州共同体(EC)残留を決めた1975年の国民投票以来となる。