生活保護見直し:母子家庭不安 実感ない「もらい過ぎ」

毎日新聞 2013年01月22日 21時42分(最終更新 01月23日 08時05分)

 13年度予算編成に伴い大詰めを迎えた生活保護の見直し議論に、シングルマザーの受給者たちが不安を募らせている。社会保障審議会特別部会の報告書案が「子供への貧困の連鎖防止」をうたう一方で、厚生労働省が保護費を「もらい過ぎ」との試算を出したためだ。「国は本当に私たちを応援しているのか」。嘆きの声が上がる。

 試算では、子供1人の母子世帯の保護費は低所得世帯(年収120万円程度)の生活費を月額約7200円上回り、子供が増えると「もらい過ぎ」はさらに増えるという。一方、報告書案は親の困窮が子の将来に及ぼす影響を懸念し「学習支援を行う必要がある」とした。

 首都圏の30代女性は「小さなエサ(学習支援)で大きな獲物(保護費切り下げ)を捕まえようとしている。これでは何も変わらない」と声を震わせる。中学生の娘と小学生の男児2人の4人暮らし。元夫のDV(ドメスティックバイオレンス)から逃げて精神科に通院している。

 服や家具は知人にもらい、壊れかけた洗濯機や掃除機を使う。子供を塾に行かせる余裕はない。「せめて高校には行かせたい」と願うが、保護費が減れば今以上に難しくなる。

 子供2人と暮らす札幌市の40代女性は「『もらい過ぎ』という実感はない。減額されたら、何をどうすればよいのか……」。重い障害のある20歳の息子の世話に精いっぱいで、仕事に就けずにいる。「中卒で苦労したから、娘には手に職をつけてほしかった」。月1万円超の学習塾代を捻出し、娘は昨年春に公立高校に合格した。今の悩みは、修学旅行の費用をどう工面するかだ。

 厚労省によると、生活保護を受けている母子世帯は、昨年10月時点で約11万5000世帯。NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子(あかいし・ちえこ)理事長は「当事者の状況を見ずに困窮者同士を比べて、『もらい過ぎ』という試算を出すのはおかしい」と話す。【遠藤拓】

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