韓国では12日から「スモッグ(煙〈スモーク〉と霧〈フォッグ〉の合成語)」が猛威を振るっている。ソウル・水原など韓国各地で、17日まで六日連続でスモッグが発生した。ところが、スモッグ現象が起こる際に増加する微小粒子状物質(PM2.5)を管理するための大気環境基準がまだ整備されていないことから、対策の整備を急ぐべきという意見が提起された。
環境保健市民センターは17日「スモッグ発生時に増加する微小粒子状物質は、特に呼吸器疾患の患者や高齢者・弱者の健康にとって危険。こうした危険なPM2.5の濃度に関する規制基準を、今年中に速やかに整備すべき」と主張した。微小粒子状物質の基準がないために予報・警報も出せず、排出元に対する規制もできないからだ。実際、17日にソウル市恩平区仏光洞で測定された微小粒子状物質の濃度は1立方メートル当たり最大134マイクログラム(17日午後1時)で、世界保健機関(WHO)の基準(1立方メートル当たり25マイクログラム)の5.3倍以上だったが「微小粒子状物質注意報」のような案内は全くなかった。
PM2.5とは、直径が400分の1ミリ以下の小さな粒子のこと。鼻・気管支では捉えられず肺まで直接到達し、通常の粒子状物質(PM10)よりも有害だ。このため米国や日本では1立方メートル当たり35マイクログラム、中国でも同50マイクログラムを微小粒子状物質の規制基準として整備・施行している。ところが韓国は、2011年3月に環境政策基本法施行令を改正し「1立方メートル当たり50マイクログラム」という基準を作ったものの「2015年1月からこの基準を施行する」という但し書きを付けたため、現在のところ微小粒子状物質の基準はない状態だ。
環境部(省に相当)は、微小粒子状物質の規制基準の施行時期が遅れている理由について▲微小粒子状物質を測定するための観測網を年単位で拡充すること▲排出元を把握するためモニタリングを行うこと―に時間がかかるからだと説明した。
しかし、環境保健市民センターのイム・フンギュ・チーム長は「WHOの基準や臨時の基準を整備し、微小粒子状物質の試行管理だけでも直ちに行うべき。そうしなければ、微小粒子状物質の濃度が上がっても、韓国国民は無防備に危険にさらされかねない」と語った。