脱原発集会:放射能に正面から向き合って! 市民の診療所発展を 福島の椎名さん誓う−−久留米市で /福岡
毎日新聞 2013年01月22日 地方版
「原発いらない福島の女たち」世話人の椎名千恵子さん(66)を迎えた脱原発集会が20日、久留米市であり、50人の参加者が福島現地の実情に耳を傾けた。「すべての原発いますぐなくそう!全国会議・福岡」など主催。【林田英明】
2年前の福島原発事故によって、それまで営んできた自然農法を失った絶望を口にした椎名さんは、放射性物質に不安を抱く母親たちの思いに正面から向き合わない国と福島県の姿勢に怒りをあらわにした。のう胞や結節が見つかった子どもたちの甲状腺検査結果を「良性」とするだけで詳しい説明がないからだった。
椎名さんも呼びかけ人となって市民らの募金で福島市内に「ふくしま共同診療所」を昨年12月に開設。セカンドオピニオンの役割も果たしながら行政に対して避難、保養の保障を求めていくという。
椎名さんは「実害のデータを挙げていくから権力とぶつかることになるが、最後は市民が判断してくれる」と話し、作家の落合恵子さんから250冊の絵本が寄贈されたことも紹介しながら診療所の発展を誓った。
除染については疑問を呈し、時間がたつと空間線量の数値が元に戻る例も挙げ「下請けが被ばく労働するだけ。“放射能バブル”で大手ゼネコンがもうかる利権の構造になっている」と批判した。
また、長崎市の被爆者、城臺(じょうだい)美弥子さん(73)も発言。3キロ圏内で被爆しながら、山の陰で直撃を免れたことと、すぐに県外へ避難したことが幸いして命をつないでいると振り返り、福島の子どもたちと被爆時6歳の自分を重ね合わせ「遺伝子の修復に1週間でも10日でもいいから保養させたい」と、願うように訴えた。
〔福岡都市圏版〕