原子力規制委員会の有識者検討チームは21日、原発事故時に住民を避難させる放射線量を毎時500マイクロシーベルトとする基準を決めた。前回の昨年末の会合では、一部有識者委員から「科学的根拠が十分ではない」と批判が相次いだ。そのため、規制委は福島第1原発事故で実際に観測された放射線量をもとに再検討、改めて意見をまとめた。
この日、規制委は5~30キロ圏の住民が避難する基準を毎時500マイクロシーベルトとした根拠について「福島第1原発事故後に半径5キロ地点で毎時567~625マイクロシーベルトを記録、同500マイクロシーベルトが適当と考えた」と説明。国際原子力機関(IAEA)の基準である同1千マイクロシーベルトを超えたのは原発の敷地内のみだったことから、「住民の避難基準としては高すぎる」として1千マイクロシーベルトより低い値が望ましいとした。
事故後1週間以内で住民を一時移転させる基準として示した毎時20マイクロシーベルトについては、事故後約1カ月後に計画的避難区域となった福島県飯舘村で2011年3月15日に同22.7マイクロシーベルトを観測した数値などを根拠にした。
前回会合で基準値を批判した日本原子力研究開発機構安全研究センター長の本間俊充氏は「現状では最善の策だ」などと理解を示した。規制委の更田豊志委員は「引き続き国際機関との議論も進めたい」と述べた。
規制委はパブリックコメント(意見公募)を実施し、2月中には原子力災害対策指針を改定する方針。
原子力規制委員会
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