ちょっと前に俺がリチャードストールマンをスールマンとタイプミスしたら、珍しく鬼の首をとったかのように、池田信夫に指摘された。 http://twitter.com/ikedanob/status/288576811460358144そんなくだらないタイプミスになにをムキになるのかと、驚いたぐらいだ。きっと、彼が唯一俺に反論できるチャンスだったんだろうなと思うことにしてるが(笑)。さり気なく、自分はストールマンに会ったことがあるんだぞ、と自慢もしている。 http://twitter.com/ikedanob/status/288577948339023874 * * *別件で検索していたら池田信夫は以前こんなエントリを書いてたのね。 池田信夫 blog : オープンソースについての誤解 - ライブドアブログ http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51292830.htmlちなみに俺もこれに反論している。すっかり忘れていたが。 池田信夫 blog オープンソースについての誤解まあこの頃はまだ池田信夫を(比較の問題だが)まともだと思っていたので、ジャブ程度に留めいているが。 * * *しっかし改めて読むと、池田信夫ってホントにオープンソースを理解してるの?と思ってしまう。 | オープンソースの文化は、原理的に財産権の保護を基盤とする資本主義と矛盾するものであり、それが今まで大目に見られていたのは、サイバースペースで完結していたからだ。それが既存メディアを侵食し始めると、逆襲が始まる。P2PやYouTubeに対する攻撃をみても、私は梅田氏や茂木氏のようにオプティミスティックにはなれない。まあオープンソースが資本主義と対立するものだというのは、彼の考え方だし、そういう捉え方もあるだろうからいいとして、後半。「大目に見られてきた」って、なんかオープンソースが著作権を侵害しているような書き方だよね。本当は著作権違反なんだけど、見逃してもらっていた、みたいな。言うまでもないがオープンソースのプログラムは著作権を侵害していないものだけで構成されている。 * * *またp2pやyoutubeを例に上げるのもよくわからない。p2pやyoutubeでしばしば著作権侵害のデータが出回っているのは事実だが、それとオープンソースがどう関係するのだろう?rfcの規格にMicrosoftの提出のものが多いという話も、だからなに?と思ってしまう。規格に著作権も特許も及ばない。もちろん実装コードについては著作権や特許が及ぶ。gifやh.264のように特許に抵触しない実装方法が事実上ないものもある。しかしそれはまた別な話だ。規格とコードの区別もつかないのだろうか?なんか池田信夫って根本的に勘違いしてるんじゃ?これでストールマンと話をしたことがあるとか、まるでストールマンの代弁者気取りなのは困るなぁ。オープンソースどころか、コードと規格とアプリ(youtubeやp2p)とその上で流ているデータ(著作権侵害のアニメとか)の区別がついてない様子。「オープンソースの真髄はストールマンしか語れない」とか言ってるけど、単に池田信夫がソフト開発について理解できなかっただけなんじゃ(苦笑)。池田信夫の話って経済も放射線も全部こんな感じなんだよね。付け焼刃。いろいろ文献を寄せ集めてくるから、部分部分を見ると、一応正しそうなことを言ってる箇所もあるのだが、それを組み立てた池田信夫の主張は、トンチンカン。福笑いの顔のように、彼が参考にしたもとの話とは似ても似つかぬ話になってしまっている。 * * *だいたい梅田望夫の著書に対するツッコミの部分だって、別にどこからがオープンソースの始まりかなんて、たいして彼の当該部分の記述に重要じゃないと思うけどねぇ。10年だと短いが20年だと長いのだろうか?ちゃんと「もともとフリーウェアというものはそれ以前からあった」と書いてるわけだし。俺のリチャード・スールマンへのツッコミもそうだけど、ホントくだらない点にしか突っ込めない人なんだな。俺は逆にそういう部分に突っ込むのは自分の恥だと思うけどね。 | それ以前からTCP/IPもHTMLも、すべてオープンだったのだ。これもなぁ。規格とそれを実装したコードをごっちゃにしてるんじゃ?tcp/ipというのは規格の名前だ。htmlも同じ。tcp/ipやhtmlを実装したコードは必ずしもオープンやフリーではない。たとえば初期のブラウザであるnetscapeのコードはオープンではなかったし、MicrosoftはIEを作るにあたってNCSA Mosaicからライセンスを取得している。tcp/ipの実装コードだって製品として売られているものもあった。たとえば「Trumpet Winsock」はシェアウエアだった。当時のWindows3.1はtcp/ipスタックを持ってなかったから、こういうので追加したわけだ。UNIXだって一時期ライセンス問題がごちゃごちゃしていた。やっぱ根本的に池田信夫は規格と実装コードの区別がついていない。で、こういうツッコミが無意味で不毛だというなら、池田信夫自身もくだらないツッコミはやめることだ。専門家から見れば所詮池田信夫は素人だから、いちいち細かい部分に突っ込むのはかわいそうと、大目に見られているのは自分の方だと、マジで気づいてないのだろうか。(当該部分の池田信夫の主張は、権利関係の話なのだから、規格とコードの混同は細かい部分ではなく、重要な部分だと思うのだけどね)。 * * * 池田信夫 blog オープンソースについての誤解 その後でも書いたけど、たとえばソフトウェア開発者でない「素人」の池田信夫としてなら、マイクロカーネル云々も、「ああ、よく調べてるね」と感心するけど、ソフト開発者同士からみれば、所詮は素人の付け焼刃レベル。彼がどの本を読んで知識を仕入れたのかまで想像がつく。それが専門家と付け焼刃の越えがたい「差」なんだよ。「ああ、多分あの本の受け売りを喋ってるな」とね。でも専門家はいちいちそんなことを突っ込んだりしない。だって相手は素人なんだもん。間違っているのは当たり前。でも、なんかそうやってみんなが池田信夫を放置してきたから、なんか本人は「自分は専門家に匹敵する知識がある」と勘違いしちゃってるみたいだね。経済とか放射線の件も。ちょっとみんな甘やかしすぎたんじゃない?(苦笑)