原発新基準 大規模工事も必要1月21日 18時12分
東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえた原発の新たな安全基準の骨子案が示され、放射性物質の大量放出を防ぐための設備や、建屋に近づけなくなった場合でも離れた場所から原子炉に注水できる施設の設置などが盛り込まれました。
対策の中には大規模な工事が必要になるものもあり、ことし7月以降に実施される運転再開の審査をする段階でどの対策の完了を求めるのかが今後の焦点となります。
原子力規制委員会は、福島第一原発で起きたような深刻な事故や、これまで考慮してこなかった航空機テロなどへの対策を、電力会社に法律で義務づけることにしていて、21日に開かれた専門家会議にこれまでの議論を踏まえた新たな安全基準の骨子案を示しました。
それによりますと、福島の事故の際に格納容器の圧力を下げるベントが思うようにできずに、放射性物質の大量放出につながったことから、放射性物質の放出を抑えながら容器内の圧力を下げる「フィルターベント」と呼ばれる設備の設置を求めるとしています。
また、航空機の落下などによって建屋が大規模に壊れた場合でも原子炉に注水するための設備や、原子炉の状態を監視できる「第二制御室」を建屋から離れた場所に設けることなどが盛り込まれました。
このほか、福島の事故で前線基地になった免震重要棟のような、緊急時対策所を設置することや、建屋内の火災対策として安全上、重要な設備の電源ケーブルを燃えないケーブルに交換することなども求めるとしています。
これらの対策の中には、大規模な改良工事が必要になるものもありますが、規制委員会は、対策によっては、一定の条件を満たせば設置までに猶予期間を認める方針で、今後、具体的に議論することになっています。
骨子案は、今月中にとりまとめられ、国民から意見を聞いたうえで、ことし7月までに基準を決めることになりますが、新たな安全基準は、7月以降に実施される原発の運転再開の審査にも適用されることから、審査の段階でどの対策の完了を求めるのかが今後の焦点となります。
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