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大飯原発 断層の評価問われる
1月17日 5時49分

大飯原発 断層の評価問われる
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国内で唯一運転している福井県の大飯原子力発電所について、国の原子力規制委員会の専門家会議は、断層を評価する会合を、16日、改めて開きましたが、活断層かどうかの見解は分かれ今回も結論は出ませんでした。
会合では、専門家から評価方法への批判も出ていて、規制委員会は、評価の長期化とともにその進め方も問われています。

原子力規制委員会の島崎邦彦委員と専門家の合わせて5人は、大飯原発で先月下旬に行った2度目の現地調査を受けて、断層を評価する会合を、16日、改めて開きました。
会合では、議論が予定より2時間も長く続きましたが、敷地の北側で見つかった地層のずれが、「活断層」か「地滑り」かを巡って、専門家の見解は二分し、今回も結論は出ませんでした。
島崎委員は、関西電力が来月以降に始める、原子炉の近くで溝を掘って地層の断面を調べる調査も確認する考えを示していますが、そのメドは決まっておらず、活断層の評価は長期化する可能性が強まっています。
また会合では、専門家から「活断層の考え方が一致していない」「専門家の分野に偏りがあり、ほかの専門家も入れるべきだ」といった評価方法への批判も出ました。
規制委員会は、大飯原発について重要な施設の真下を走る断層を活断層と判断した場合、運転停止を求める考えですが、規制委員会は、評価の長期化とともにその進め方も問われています。

評価会合での議論

大飯原発の断層の評価会合では、議論が集中した地層のずれについて専門家の見解は対立したままで、評価の進め方に疑問を呈する意見も相次ぎました。
このうち、信州大学の廣内大助准教授は、地層のずれについて、「地滑りだけでは説明できない」と指摘したほか、東洋大学の渡辺満久教授も、「現地をもう一度調査した結果、活断層だという判断は変わらなかった」と主張しました。
これに対し、産業技術総合研究所の重松紀生主任研究員は、「地層を円筒状にくり抜くボーリング調査のデータを分析した結果、地滑りの特徴が見られることが分かった」と説明し、立命館大学の岡田篤正教授も、「活断層で見られる粘土などがずれで一切確認できなかった」と述べて活断層の可能性を否定し専門家の見解は対立したままです。
また会合では、評価の進め方に疑問を呈する意見も相次ぎ、「現地調査で同じものを見ているのに、活断層の考え方が一致していない」「専門家の分野に偏りがあり私たち4人で評価するのは無理だ。『地滑り』や『岩石』などのほかの専門家も入れるべきだ」といったの意見が出されました。
これについて規制委員会の島崎邦彦委員は、評価方法を変えずに進めるとしたうえで、「関西電力が来月以降に始める、原子炉の近くで溝を掘って地層の断面を調べる調査も現地で皆さんに見て評価してもらいたい」と述べていて、評価の長期化は避けられない状況になっています。

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