小さな瞳で見える この世界がぼくの全て・・
空の青さはわかるけど・・
空の広さは わからない・・
(松山千春より)
人は生涯の中で 2万人という人に出会うという
人は生涯の中で 5万キロの道を歩くという
君は一日待ってても 誰一人とも会わないことがあるのかい・・
君は一生かけても そこの2メーターだけなのかい・・
今回 行った被災地の雪降る 夜
足が凍りそうに冷たく 疲労も極限まできた夜6時半
もう一軒 あと一軒と 足をぐらつかせながら 最後の一軒に向かった
静寂だけが たちこもるこの情景はまるで異空間に入りこんでしまったのかと
思わせるほど 異様な淋しさが 私を襲う
小道からわき道へ
全ての家の灯りは閉ざされ 1週間前から降り積もった雪道に
一つの足跡すらない その情景は淋しさを見事に哀しさに変えてくれた・・
こんな場所にわんこがいるわけがない
ここは私の記憶違いだ
まさか こんな淋しい こんな真っ暗な こんなところにわんこが独りでいたら
気が狂うさ・・
などと独り言を言いながら 帰ろうとしたとき
つまったような 犬の鳴き声がした・・
『いた・・!』
小柄なビーグルが いた・・ 小さなガレージにうずくまるようにしながら
尻尾だけが元気に動いている
その尻尾を 振ることも久しいかのように・・
君は こんな真っ暗なところで こんな寒いところで こんな独りぼっちで
もしかしたら1週間 だれも来ないで何も食べてないのか・・・
この子の飲み水は 凍ってはいない
凍るべく その水が一滴も入ってないからだ・・
封を開けるやいなや 頭を突っ込んでがむしゃらに
食べている君がここにいる・・
ここに 命の詩がある
ここに 飢えと孤独と寒さに耐えるだけ耐えている 悲しき大きなドラマがある
この子たちも 息を吸い 心臓が動いている
この子たちも 泣いたり 笑ったり 淋しがったり 怒ったりする生きている魂だ・・
むごすぎる・・
この五文字の中に
温もりも 優しさも 笑いすらも ひとかけらもない
あるのは 空虚な悲しみだけではないのか・・
原発がもたらした 悲劇の詩
世界で 一番哀しい瞳をした純粋な動物たちがここにいる
この子たちを飢えさせるほど 私たちは食に困っているのだろうか
この子たちを こんなにも苦しませるほど私たちは大変なのだろうか
畑の真ん中に 悲しみきった表情のわんこがいた
被災前は 畑の番犬をしていたという
守る畑は荒れ果てすでにない
水はやはり凍りついて空と同じ状態
食べ物は目の前の雪だけだった・・
保温シートをひき 毛布をあてがう
暗闇にランプを設置
出来ることはここまでだ・・
この子たちの孤独を癒すものは ない
この国が 動物に地位をつけ
見下した代償は 飢えと寒さと孤独
被災した動物たちは それを額面のまま請負い涙を流し耐え忍ぶ・・
私たちは 自分だけを見ている
私たちは 前だけを見ている
そんな時 もし愛があれば あなたに見て欲しいものがある
彼らの涙を・・
2012 1 21