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2013年1月18日(金) 東奥日報 ニュース



■ 青森のNPOが空き家再生

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おいでよあぶらかわ会が再生・貸家にした物件の一つ。現在は、県外からの若い夫婦と子どもが住んでいる=青森市新城
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 青森市のNPO法人「おいでよあぶらかわ会」は、地域の空き家をリフォームし、子育て中の若い夫婦らに安い賃料で貸す活動を行っている。地域おこしイベントをメーンとする同NPOの本来の事業ではないが、個人的なつながりの中で依頼が寄せられ、これまで手掛けた再生物件は10軒以上。空き家の管理に困っていた所有者が家賃収入を得ることができる一方、借りる側は、一軒家で伸び伸びと子育てができるメリットがある。県内で空き家対策の必要性が叫ばれる中、同NPO理事長の榊一江さん(68)=油川電器社長=は「条例で空き家を壊す議論だけでなく、再生・利活用する方法をもっと考えてもいいのではないか」と提案する。

 青森市西部の油川地区で2年前、一人暮らしの高齢男性が他界。木造平屋の建物が空き家になった。地区の民生委員が地域コミュニティーづくりに熱心な榊さんに相談。調べたところ、他界した男性の妻方の親族と連絡を取ることができた。この親族との話し合いで、NPOが67万円を出して空き家を改修し貸家とし、その家賃収入を改修費返済に充てることにした。

 台所、ガス台、内装などの修理・改修工事は、NPOに参加する建設業者などが低コストで請け負った。改修着手3カ月後、古めかしい建物の内部は真っ白なクロスが張られ見違えるようになった。

 市内の不動産業者の仲介で2011年夏から、若い夫婦がこの元空き家に入居した。家賃は4万5千円。入居している女性(28)は「アパートと同じぐらいの家賃で、一軒家に住めるのはラッキー。小さな娘2人を伸び伸びと育てられる」と話した。

 NPOではこのほか、住人が福祉施設に入ったため、空き家になったケースなど、04年ごろから10軒以上の再生・利用を手掛け、建物所有の関係者や入居者から喜ばれている。

 親が住んでいた青森市の住宅が、親の死などによって空き家となり、管理に困っていた十和田市の斉藤修一さん(58)は数年前、NPOの助けを受けて、約150万円を掛けてリフォームし、庭付きの住宅を月6万円で貸している。斉藤さんは「NPOの助けがなければ青森の家を取り壊していたかもしれない。大変ありがたい」と語った。

 再生物件の仲介を行っている立木不動産(青森市)の木立幸男さん(68)も「賃料が安い一軒家はすぐ入居が決まる。使える家は壊す必要がない」と、NPOの考えに共感する。

 榊さんは、空き家の再生を引き受ける際、関係者の話をよく聞き、建物の状況、支払いの見込みなどを調べた上で、NPOの仲間と事業に着手する。「信頼」「ネットワーク」「連携」がキーワードだという。

 空き家再生を正式なNPO事業として軌道に乗せることも検討しているが、改修費立て替え資金の調達の面で課題があるという。

 榊さんは「最初はおっせかいなボランティアのつもりで空き家再生に取り組んでいたが、次第に地域のコミュニティーに関わる重要な課題だと感じるようになった。一般の空き家対策は、壊すことが前提で議論されているが、条例で空き家を壊すだけで解決策になるだろうか。空き家再生もエコリサイクルの一つと言えるはず」と強調する。

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