シネマティックアドベンチャー
ゲーム黎明期から様々なソフトが世に送り出され進化を繰り返してきたアドベンチャーゲーム。
「ポリスノーツ」が発表される少し前までは、アドベンチャーゲームと言えば、背景グラフィックの上に登場人物の立ち絵が表示され、コマンド選択式で物語を進めていくだけの紙芝居的なものが主流であった。
現在では文章と効果音に重きを置いたサウンドノベルやシミュレーション要素を盛り込んだタイプ、3Dアクションをベースとしたアドベンチャーゲームなど様々な作品が生み出され、アドベンチャーゲームの系譜は多岐に渡っているが、当時はCD-ROMのような大容量メディアの導入、2Dグラフィック描画向上やムービー再生機能などが進化していったハードが登場したばかりで、ほとんどただボタンを押してビジュアルを観ながらストーリーを進めていくだけのデジタルコミック的なアドベンチャーゲームと、従来のような謎解き重視のアドベンチャーゲームの路線が二分化しはじめた時代であった。
そんな中、「ポリスノーツ」はその両方の魅力を備え、絵付き小説の延長であったアドベンチャーゲームを映画の発展系であるインタラクティブ(双方向)シネマとして昇華し、ストーリーも巧みで視覚的にも楽しませ、ゲームとしても解き甲斐があるというバランスから、「映画×ゲーム」を意図するシネマティックアドベンチャーと名づけられた。
「ただストーリーを見せられる、なぞらされる」だけのゲームが氾濫していた中、「ポリスノーツ」は「見せられる」のではなく「体験する」楽しさが味わえるゲームであった。
ストーリーの中に自然に組み込まれたアクションパート「射撃モード」や「爆弾解体」、緻密な世界設定とキャラクター達は、まさにプレイヤーがその場にいて行動しているような疑似体験、擬似空間を作り上げることに成功していた。 |