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もちろん、マーキュリー計画も、サバービアも、ユートピアとしてのコロニーも、「ポリスノーツ」で直接語られているわけじゃない。ぼくが考えたこじつけのようなものだ。それに告白してしまうが、今まで書いてきたような、60年代というラインで「ポリスノーツ」のいろんな要素をリンクさせることは、「メタルギアソリッド3」が発表されてはじめて考え付いたことだ。「そういや、メタルギアもスナッチャーも冷戦の物語だよなあ、そういやポリスノーツもオリジナルセブンだし〜」という具合に。
けれど、別に根拠なく書いたわけじゃない。物語と設定の中に、こういうことを考えるだけのきっかけがたくさん入っているのは確かだ。考える楽しみを可能にするだけの情報の懐をしっかり持っているのが、「ポリスノーツ」のすごいところ。他のアドベンチャーやビジュアルノベル、RPGでは、こういうことをつらつら考えるのは、ちと難しい。

新しい世界の、あたらしい価値観。新しい技術が、ぼくらをどのように変えていくのか。
「ポリスノーツ」は宇宙での生活が日常となった世界の物語だ。そこに住んでいる人々には、この文の最初でも触れた「宇宙への憧れ」のようなものはまったくない。そりゃそうだ。彼らはまさに、そこに住んでいるのだもの。コロニーの住人にとって、それは厳しいにせよただの住まいにすぎない。しかし、その「日常」はぼくらのそれとは違うはずだ。その、コロニーならではの生活を子細に描きつつ、そうしたすべてが結末で提示されるヴィジョンにしっかりつながっている。それが「ポリスノーツ」のうまさであり、設定の細かさが脚本になんら貢献しない「設定マニア」の脚本と、小島監督の物語を決定的に隔てているポイントだ。BEYONDが禁煙であるという設定すらも、しっかりと物語にリンクして「機能」している、というような細やかな「技」が、存分に展開されている。





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