銀輪の死角:自転車利用、有識者会議きょう提言 「車道走行徹底」政策に 交通量など条件、ハードは三択で
毎日新聞 2012年04月05日 東京朝刊
自転車の利用環境向上に向け国土交通省と警察庁が設置した有識者会議は3月30日、提言案「みんなにやさしい自転車環境」をまとめ、5日に両省庁に提出する。提言は自転車走行路を車道に整備することを明記し、昨年10月に警察庁も打ち出した「車道走行の徹底」を実際の政策に反映するよう求めた。今後は自治体が提言通りに実行していけるかが課題になるが、自治体の施策を促すよう国にも実効性のある取り組みが求められる。【馬場直子、北村和巳】
提言は、これまで多く設置されてきた自転車歩行者道(自歩道=自転車が通行できる幅広の歩道)を整備手法から外し、「自転車は車道走行」という原則をハード面からも明確に示した。その上で、対象道路の車の制限速度や交通量に応じて(1)車道や歩道と縁石で完全に区切った自転車道(2)車道左端を線で区切りカラー舗装するなどした自転車レーン(3)車道で車と混在−−から選択すべきだとした。既に自歩道がある場合もそれを廃止し、これら三つの中から選ぶことになる。
自転車と歩行者の事故は00年ごろから急増した。自転車の無謀な運転も指摘され、自転車の歩道走行による弊害が問題化。昨年1年間の自転車と歩行者の事故は2801件で、10年前の1・6倍に達している。
両省庁は07年にも、自転車利用環境の在り方について議論する有識者会議を設置した。この中でも歩道走行の問題点が指摘され、車、自転車、歩行者を分離する必要性が指摘された。ただ、結論をまとめたリポートでは、自歩道上で自転車と歩行者の通行位置を分けるべきだとしたものの、自歩道の整備自体は否定していなかった。