まげをほどいた宝富士はマツコ・デラックスにそっくりだ
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◇初場所<9日目>
平幕の宝富士(25)=伊勢ケ浜=が千代大龍を万全の寄りで退け、2日目から8連勝で勝ち越しを決めた。兄弟子の横綱日馬富士(28)=同=は関脇豪栄道をはたき込んで9戦全勝。横綱白鵬(27)=宮城野=は大関復帰を目指す関脇把瑠都を一気の寄りで退け、宝富士ともに1敗をキープした。
まるで別人かと思えるほど勝ち続ける宝富士。当たりの強さで定評ある千代大龍に力負けせず、左でおっつけてから差し。最後は右で押し込みながら寄り切った。これで2日目からきれいに並んだ白星は8つ。1敗をキープし、平幕で勝ち越し一番乗りを決めた。
「体が動いて、反応した。とにかく当たり負けしないように心掛けた。でも(勝ち越しは)早すぎますよ」と照れた。
女装タレントのマツコ・デラックス似で知られ、昨年4月にはテレビのゲスト出演で初対面。マツコ本人から「似てる」と太鼓判を押された。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)からは「マツコ富士に改名しようか?」と言われたほどだ。
今年の正月、伊勢ケ浜部屋の新年会。若い衆の芸がうけず、場がしらけ始めると、宝富士はスッと立ち上がった。マゲをほどいて髪を垂らし、マツコ・デラックスの物まねだ。鉄板の一発芸に一同、大爆笑。文句なしで優勝をさらった。
「若い連中の芸が面白くなくて宴が盛り上がらなかったんで。酔っぱらってたのもありますが、一丁やってやろうかと。何を話したか覚えてませんが、みんなうけてくれました」
相撲については、かつては験を担ぐことが多く先場所までは勝つと同じトランクスをはいていた。しかし今場所は勝った時のものをためておき、10枚ほどの山になった中から1枚を抜き出す。
「山にしておいて(トランクスに)力をためるんです。その中から光るものを取る。験担ぎをしていると気持ちが焦ってしまうんですよね」。ちなみにこの日は青地に大漁舟とタイのデザインが入ったものだった。
昨年の秋場所千秋楽。10敗目を喫して十両落ちが決定的となって涙を流した。翌九州場所で兄弟子、日馬富士の横綱土俵入りに加われなかった。「あんな悔しさは味わいたくない。もう絶対幕内から落ちない」。残り6日。この誓いを胸に優勝戦線に踏ん張ってみせる。 (竹尾和久)
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