ボストン空港で発火したB787、電池に過剰な電圧かからず=NTSB
[東京/ワシントン 20日 ロイター] 米運輸安全委員会(NTSB)は20日、1月7日に米ボストン・ローガン国際空港で日本航空(JAL)(9201.T: 株価, ニュース, レポート)のボーイング(BA.N: 株価, 企業情報, レポート)787型機が発火したトラブルについて、フライトレコーダー(飛行記録装置)のデータを解析したところ、問題となった補助動力装置(APU)用電池に過剰な電圧はかかっていなかったと発表した。
充電装置や補助動力装置(APU)にも調査対象を拡大する。
787型機はトラブルが多発しており、16日には米連邦航空局(FAA)が、電池の安全が確認されるまで同機の運航を停止するよう航空各社に指示。各国の当局もこれに続き、787型機は世界的に運航が止まっている。
ローガン空港では7日午前にJALの787型機が駐機中に発火。到着後、整備士が機内で煙が出ているのを発見し、空港当局に通報した。消防隊が駆け付けたところ、APU系統の電池が爆発で破損していた。FAAとNTSBが発火原因の調査を進めている。
NTSBは20日の声明で「解析したJALの787型機のフライトレコーダーのデータは、APU用電池の電圧が設計上の32ボルトを超えていなかったことを示した」と発表した。APUは、機体が地上にある際に電力を供給する補助動力装置。NTSBは、発火したリチウムイオン電池のほか、配線や電池制御用の回路基板なども取り出して調査している。22日には調査団を米アリゾナ州ツーソンに集め、充電装置のテストや解析を行うほか、APUコントローラーからデータをダウンロードする予定という。APUが製造されている同州フェニックスの施設でも同様のテストが行われる予定。その他の機器はダウンロード、もしくは調査のためにボーイングのシアトルの施設や、日本の関連施設に送付された。
この電池は、16日に高松空港に緊急着陸した全日本空輸(ANA)(9202.T: 株価, ニュース, レポート)の787型機で使われている電池と同じもの。ANAの機体の電池は黒く変色し、内部から液体が漏れていた。現地で調査に乗り出した日本の運輸安全委員会(JTSB)は、電池に過剰な電流や電圧がかかり、内部の液体が過熱して噴き出した可能性があるとの見解を示した。
同委員会は高松空港での調査を18日に終了し、ボストンで起きたトラブルと類似していると指摘した。電池とその周辺機器を東京に運び、あらためて調査する。調査には1週間程度かかる見通し。
同委員会の小杉英世・航空事故調査官は20日、ロイターの取材に対し、NTSBの発表内容について、今後の調査の参考にする意向を示した。その上で「今の段階ではそれ以上のことは言えない」と語った。東京での調査は解析を行う第三者機関が決まっていないため、まだ開始していないという。 続く...