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【大相撲】

森麗が亡き師匠に捧げる白星

2013年1月21日 紙面から

◇初場所<8日目>

(20日・両国国技館)

 横綱日馬富士(28)=伊勢ケ浜=は臥牙丸を冷静に引き落とし、8戦全勝で勝ち越しを決めて単独トップ。横綱白鵬(27)=宮城野=は魁聖を上手投げで退けて1敗を堅持した。また元横綱大鵬の納谷幸喜さんが72歳で死去して一夜が明け、大鵬部屋の流れをくむ大嶽部屋の序ノ口力士が奮起。白星を挙げた。

 史上最多の優勝32回を誇った昭和の大横綱が亡くなり、東京都江東区の大嶽部屋には20日も弔問客が相次いだ。ソフトバンクの王貞治球団会長からは献花も。そんな中、大嶽親方(元十両大竜)は朝げいこで、部屋の8力士を集めてこう訓示した。

 「何があっても土俵に集中するのがプロとしての責任。われわれは親の死に目にも会えない仕事をしている。しっかりいこう!」

 現在、部屋の稽古場の半分ほどに板が張られ、納谷さんの遺体が置かれている。ぶつかり合うスペースはないが、基本的な運動は可能。「明日(21日)はオヤジの前で四股を踏ませる」と大嶽親方はげきを飛ばした。

 その強い意志をしっかり受け取ったのが西序ノ口4枚目の森麗(もりうらら、25)だ。亡き師匠への一途な思いを込め、千葉響(ちばひびき、式秀)に強く当たって右から押っつけて前へ。最後は左の上手をつかんで丁寧に寄り切った。

 「朝、部屋を出発する時に親方から勝っても、負けても全力でいけ! と言われた。ただ、相撲のことだけを考えて精いっぱいとりました」

 2003年5月、大鵬部屋に入門。7月の名古屋場所の一番相撲で勝ってから04年春場所の6番相撲に勝つまで昭和以降ではワーストの32連敗。デビュー以来38場所連続負け越しという記録を持ち、いつしか史上最弱力士と呼ばれるようになった。親方から何度も引退を勧められたが「やめたくない」と涙ながらに訴え、あきらめずに相撲を取り続けてきた。そして09年九州場所。かつて地方競馬で、走っても走っても負け続け、一度も勝利することなく113連敗したハルウララにちなんで改名。その途端、4勝3敗と自身初の勝ち越しを決めた。

 「入門時、大鵬親方には厳しく指導された。でも勝ち越して報告にいったら『おめでとう。これからも頑張れ』とすごく喜んでくれた。厳しいけど、後は優しい。そんな親方でした」

 これで今場所は3勝1敗で勝ち越しまであと1勝。「耐えて頑張れ、と言われた言葉が思い出です」。天国の師匠はそんな森麗を見守ってくれている。 (竹尾和久)

 

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