東日本大震災:福島第1原発事故 自主避難追加賠償、請求書文言に不安 「合意了承」で打ち切り危惧、弁護団が削除要求 /福島

毎日新聞 2013年01月16日 地方版

 ◇弁護団、東電に削除要求

 東京電力が昨年12月に受け付けを始めた自主避難費用などの追加賠償について、「請求したら二度と賠償に応じてくれないのでは」と住民から不安の声が上がっている。請求書に「自主的避難等に係る賠償について、代表者は本請求書の内容をもって合意することを了承」との文言が記載されているためだ。住民側弁護団は「訴訟になった場合、東電に都合よく解釈される」と文言の削除などを求めている。【蓬田正志】

 自主避難費用の追加賠償の対象は、福島市など県内32市町村と宮城県丸森町の住民。昨年3月から受け付けを始めた自主避難賠償の2回目となる。

 東電福島復興本社広報部によると、この文言は1回目の請求書に記載はなく、手続きに必要な合意書を交わすのを簡略化したため付け加えた。指摘のような意図はないという。

 今回の追加賠償は、(1)妊婦と18歳以下の子どもを対象とした自主避難費用や精神的損害の昨年1〜8月分(2)全住民を対象とした原発事故により増えた生活費用−−の2種類。東電は最大1人あたり12万円を支払う。避難生活の費用がこれ以上かかった場合や、9月分以降の支払いについては「個別の相談に応じる」としている。

 郡山市の男性(54)は請求書に追加された文言を「請求権を放棄することにつながりかねない」と危惧し、請求できないでいるという。「市内の除染は始まったばかり。放射線量も下がらないのに勝手に打ち切られたら困る」と困惑していた。

 一方、福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(東京都)は昨年12月、「解釈によっては、住民側が請求権を放棄するとの意思表示と受け取られかねない」として同社に文言削除を求める要請書を提出した。福田健治弁護士は「きっちりと明文化することが必要だ。ホームページなどに、今後も請求に応じる旨を明示すべきだ」と話している。

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