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原発新安全基準 電力側から異論
1月18日 23時7分

深刻な原発事故を防ぐための新たな安全基準の検討を巡り、原子力規制委員会は、18日、初めて電力各社に意見を聞きました。この中で、電力側は、規制委員会が複数の設置を求める方向で検討している放射性物質の大量放出を防ぐ安全設備について、1つでも十分信頼性は確保できると述べるなど、意見が異なる場面が多く見られました。

原子力規制委員会は、福島第一原発で起きたような深刻な事故への対策を電力会社に義務づけることにしていて、これまでの議論では、放射性物質の大量放出を防ぐためのフィルターベントと呼ばれる安全設備の設置や、非常用の冷却装置がすべて機能を失っても離れた場所から注水できる施設の整備などを求める方向で検討を進めています。
これについて、規制委員会は、規制される側の意見を聞く必要があるとして、18日、専門家チームの会合に初めて関西電力や中部電力などを呼び意見や要望を聞きました。
この中で、電力側は、安全性の向上のためにすぐに必要な対策については新たな基準の決定を待たずに対応するなどと述べました。その一方で、検討中の基準については、例えば、規制委員会がフィルターベントの設備を2系統設置する必要があるという方針を示しているのに対して、「配管が長くなると地震の影響で破損するリスクが高まる」とか「1系統でも十分信頼性を確保できる」と述べるなど、意見が異なる場面が多く見られました。
これに対して、規制委員会側は「原子炉建屋への航空機の落下やテロを想定した場合、建屋から離れた場所か、頑丈な構造にすることが必要で予備のための系統も必要だ」などと説明しました。
新たな安全基準は、原発の運転再開の判断の前提にもなるもので、規制委員会では、18日の議論なども踏まえて、来週、骨子案を示してさらに議論し、ことし7月までに法律で義務づける方針です。

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