★ 指宿〜坊津・秋目 丹波さん安らかに ★
    鹿児島県指宿市 南さつま市坊津町秋目

 佐多岬をあとにした私達は、根占港から対岸の薩摩半島の山川港へ渡るフェリーに乗船しました。
,この根占〜山川間の航路は佐多岬ロードパークと同様に、いわさきグループにより経営されていた
のですが、経営難のため2002年9月一杯で廃止され、その後、多くの紆余曲折を経て地元自治体や
鹿児島県の尽力により2005年12月に復活しました。
現在使われている船体は、ぶーげんびりあ 1478tで、従来は鹿児島〜種子島に就航していた船舶
だそうです。

 
根占港フェリー埠頭                       ぶーげんびりあ号 1478t

根占港と山川港の港湾施設は、いわさきグループと鹿児島県が鹿児島市内の県有地と等価交換し、
船体は地元自治体が購入の上で、いわさきグループに10年間リースする。
そして運行業務は、いわさきグループによって行うという少しばかり複雑な形態ながらも、この薩摩と
大隅の両半島を結ぶ航路は安定した運営が続けられることになりました。


 
根占〜山川航路図                              根占港チケット売り場

航路図&運賃表、そしてチケット販売窓口も長い運休期間を感じさせず、沢山の乗船客が待つこの日の
根占港は、まずまずの盛況でした。
ターミナルの近くにはコンビニやホームセンターもあり、出港までの間に簡単な買い物を済ませることが
できます。 これって意外に便利です。

                
                      ぶーげんびりあ号の2階船室
船内は掃除も行き届いており、山川港までの約50分間を快適に過ごすことができました。この日はプロ野
球パリーグのプレーオフが船内テレビで見ることができ、退屈する間もありませんでした (^o^)。
山川港に到着した後、この日の宿、指宿白水館へ向かいました。

          

            指宿白水館 鹿児島県指宿市東方12126-12  TEL 0993-22-3131

          

 
指宿白水館エントランス                      白水館 花の棟

白砂青松という言葉は、まさにココのような所を示すのでしょうか、指宿の海岸の青い松に囲まれた静かな
浜辺に白水館は有ります。
鹿児島県下で最大級の規模を持つこのホテルは、ロシア大統領のエリッィン氏や日韓首脳会談で盧泰愚
韓国大統領と小泉前首相が宿泊したことでも知られています。


 
錦江湾を望むデッキチェア                     極上のプール

     
    エリツィン大統領宿泊記念                小泉前首相とノ・テウ大統領

           
               花の棟 和室

このホテルの詳しい紹介はこちらをご覧いただくとして、間違いなくお勧め出来るのは広々した庭園の美し
さと、客室バルコニーからの錦江湾の眺めです。
なかでも月の明かりに照らされた水面と、朝日に輝く指宿港の風景は、ちょっと他では見られない素晴らしさ
だと思います。 宿泊の際は是非とも海側の部屋がお勧めです。


翌日、白水館を出発した私達は、坊津(ぼうのつ)秋目の海岸を目指して出発しました。
指宿から国道226号は山へ向かって登りが続き、やがて開聞岳が正面から左方向へ角度を変えると、間もなく
鰹節で有名な枕崎市へ入ります。





  
道の勾配はかなり急ですが、要所要所に
  登坂車線が設けられており、比較的快適
   に走ることができます。










国道226号 山へ向かうアップヒル
                                 
                                  薩摩富士 開聞岳


 鰹節で有名な枕崎市。





       枕崎市を抜けると、道は再び小さな峠越えとなり
       やがて海岸沿いの隘路を抜けると坊津に到着です。



























坊津の海を望む


坊津は、山々が直接海へ沈み込むようなリアス式海岸で、中国明代の歴史書『武備誌』に日本の代表的
な港=日本三津として、博多津(福岡県博多港)、安濃津(三重県津)、坊津(鹿児島県南さつま市秋目)
と記されており、当時の日本を代表する良港だったようです。

そのためここ坊津は唐から我が国に仏教の戒律を伝えたと言われる鑑真和上が753年に日本に初めて
上陸した港でもあり、この地に数日間滞在した後、福岡県の太宰府へ向かったとされています。
その海を望む高台に、鑑真の上陸を記念する施設が建てられています。


  

その後の坊津は中国・琉球・南方貿易の拠点として繁栄し、そして貿易に携わる商家も繁栄の頂点を迎えますが、
やがて江戸時代に至ると幕府の鎖国令により、海外に対して開かれた港は長崎に限られ、坊津における海外貿易
は密貿易(いわゆる抜け荷)の形を取るようになります。
当初は坊津を治める薩摩藩は抜け荷を黙認していたと考えられますが、1732年の「享保の唐物崩れ」と呼ばれる
取り締まりにより、坊津の全ての商家の男は召し捕られるか、離散逃亡するしかありませんでした。
これにより当時の我が国を代表するほどの一大貿易港であった坊津は、一夜にして寒村となってしまいました。



鑑真和上記念館より秋目の港を望む

さらに時は流れ、この坊津の地では「007は二度死ぬ」という映画のロケが行われました。
映画のストーリーそのものは数ある007映画の中でも極めつけの荒唐無稽で、秋目の沖合にある島に秘密結社
スペクターの基地があり、そこから打ち上げられた巨大宇宙船がアメリカやソビエトの人工衛星を捕獲するとい
う・・・無茶なお話し(苦笑)。 とは言うものの、今ではその無茶苦茶なストーリーが逆に爽快な印象があります。
その映画で主役のジェームズ・ボンドを演じたのがショーン・コネリー。
準主役級のタイガー田中を演じていたのが、先ごろ霊界へ旅立った丹波哲郎氏。
その二人の名優の名前を刻んだ記念碑が、ロケ地である秋目を望む丘に建てられています。


          
           007 You only live twice 邦題「007は二度死ぬ」の撮影記念碑

この記念碑を見るために私達は数百キロを旅してきました。
ここ秋目に至るには、現実的な交通手段は自力で車を運転するしかなく、狭くてアップダウン続きの道路を走り抜け
るには相当な苦労をさせられるのは間違いないのですが、青い空と海をバックに映える記念碑に記された丹波さん
の名前を見つけた時、距離や時間や運転疲れはすっかり忘れてしまいました (^o^)。
どういうルートを通っても間違いなく苦労はさせられるでしょうが、ぜひ空と海と記念碑をご覧になるために秋目を訪
れてみて下さい。  きっと後悔はしないと思います。