河西智美さん写真集:「児童ポルノ許さぬ」条項に明記を
2013年01月19日
2月に発行予定のアイドルグループAKB48のメンバー河西智美さんの写真集の表紙が、河西さんの裸の胸を少年が両手で隠す構図になっており、インターネット上で「児童ポルノではないか」と指摘が相次いだ。17日、警視庁が発行元の講談社から事情聴取した。
講談社は11日、問題の写真を告知記事として載せた漫画誌「ヤングマガジン」の発売を延期。写真集はこの写真を外して発売する方向だ。同じ写真を10日付で掲載したスポーツ紙などは11日、サイトから削除した。
講談社は「社内から問題視する声があり、一般的にも不快だと思う人が多いと判断した」とする。スポーツ紙などには9日に資料を配布したという。
ネットには写真のコピーが複数掲載されている。捜査当局が児童ポルノと判断すれば、写真自体の掲載だけでなく、そのURLの掲載でも公然陳列罪と認定された判例もある。警察庁の業務委託を受けて違法・有害情報を受け付けるインターネット・ホットラインセンターは対応を検討中だ。
児童ポルノ問題に詳しい奥村徹弁護士は「この写真は『児童が他人の性器等を触る行為〜』を児童ポルノと定めた児童買春・ポルノ禁止法第2条3項の2号にあたる。講談社は提供目的の製造罪、ネットに載せた媒体は公然陳列罪になる」と指摘する。男女の別、着衣かどうかも問わないため、女性が胸部に布を着けていても変わらない。一方で「講談社は販売を事前に止めており、不注意ではあったが故意性は低い」とみる。
ネット関係の法律に詳しい森亮二弁護士も「現行法の解釈では児童ポルノにあたる。ヤングマガジンを含む青年誌はこれまでも18歳未満の女性のグラビアを載せている。第三者委員会を作って検証すべきだ」という。
同2号には「性欲を刺激する」との要件があり、問題の写真で少年に対して性欲を刺激されるのか、と疑問視する声もあった。森弁護士は「もともと要件に無理があり、改正を考えるべきだ」と指摘する。
児童買春・ポルノ禁止法は99年、議員立法で制定された。ネット掲載や国外犯の規定も盛り込み、買春ツアーを取り締まることも可能になった。重要なのは性欲を刺激するかどうかではなく、「児童ポルノを許さない」ことと「児童の権利保護」だ。定義について改めて議論する必要がありそうだ。【岡礼子】