渋川の老人施設全焼:元理事長に有罪判決 地裁「対策怠った責任重い」 /群馬

毎日新聞 2013年01月19日 地方版

 渋川市で09年3月、入所者10人が死亡した高齢者施設「静養ホームたまゆら」火災で、前橋地裁は18日、業務上過失致死罪に問われた運営法人元理事長の高桑五郎被告(88)に禁錮2年、執行猶予4年(求刑・禁錮2年6月)、元施設長の久保トミ子被告(76)に無罪(同・禁錮1年6月)を言い渡した。半田靖史裁判長は「火災の危険性を知りながら警報器設置などの対策を怠り、施設運営の根幹を軽く見た責任は重い」と指弾した。【塩田彩、角田直哉、田ノ上達也】=一部地域既報

 ◇元施設長は無罪に「肩書は名目的、権限なし」

 判決は争点の予見可能性を巡り▽入所者の喫煙を黙認▽ベニヤ板を施設の一部に使用▽夜間は当直職員1人で一部出入り口を施錠−−などから「火災が急拡大し、入所者の生命に危害が及ぶと予想できた」と指摘、「予想できず無罪」との高桑被告側主張を退けた。

 さらに、たまゆらは無届け施設だったが実態に照らせば有料老人ホーム並みの防火管理体制が必要で、高桑被告は(1)煙感知式火災警報器の設置(2)要介護者ら入所者の誘導方法を、職員に周知するための避難訓練実施(3)夜間当直職員を2人以上配置−−という注意義務を怠ったと判断した。

 ただ、模擬建物を燃やした再現実験を基に避難に使える時間・経路を推定すると、仮に義務を果たしていても4人は救えなかった、と指摘。検察側が起訴対象とした9人のうち、歩行困難な2人を含む5人の死亡について有罪と結論づけた。

 久保被告については「施設長という肩書は名目的で、防火管理上の権限はなかった」として無罪とした。

 火災は09年3月19日午後10時半ごろ出火、木造平屋の本館と別館を全半焼し、55〜88歳の入所者10人が死亡した。検察側は、火元付近にいた男性を除く9人を一酸化炭素中毒などで死亡させたとして起訴していた。

 ◇高桑被告、改めて謝罪 「今後も福祉にかかわりたい」

 閉廷後、前橋市内で記者会見した高桑五郎被告(88)は「10人の命を奪った原因は私にある。深くおわび申し上げます」と改めて謝罪の言葉を口にした。高桑被告の弁護士は、判決について「火災や避難実験の結果が緻密に検討された結果」と評価。一方で「9人全員(の死亡について)無罪だと主張してきた。納得しているわけではない」と述べ、控訴については今後協議して決めるとした。

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