アルジェリア軍 政治に影響力 大統領も手出せず
産経新聞 1月21日(月)7時55分配信
【カイロ=大内清】アルジェリアの外国人拘束事件で、同国政府があくまでも犯行グループの武力制圧にこだわった背景には、国の治安維持を担う軍・治安機関が政治にも強い影響力を持つとの事情もあるとみられる。
アルジェリアの正規軍は陸海空を合わせて約14万7千人。これに加え、内務省管轄の武装治安部隊や、地方民兵組織などの準軍隊が約18万7千人に上る。こうした力を背景に、軍指導部や内務省は国政に強大な影響力を保持。特に軍は、文民出身のブーテフリカ大統領も手が出せない「聖域」だといわれる。
アルジェリアは、1950〜60年代にフランスと戦争し独立を勝ち取った国でもあるだけに、軍は、国民からの信頼も一定程度、維持しているとされる。
アルジェリア軍は90年代初め、イスラム原理主義組織「イスラム救国戦線(FIS)」が大勝した選挙結果を無効にして実権を掌握、その後も非合法化されたFIS傘下の武装組織「武装イスラム集団(GIA)」などとの内戦を戦っており、国の一体性を守ってきたとの自負がある。
軍や治安機関は2000年代以降も、「イスラム・マグレブ諸国のアルカーイダ組織(AQMI)」などの過激派の掃討や摘発を担ってきた。
そうした経緯からも軍・治安機関にとって、今回の拘束事件で外国人が多数、人質になっているからといって、武装勢力側と交渉する選択肢は初めからなかったといっていい。
英紙ガーディアンは、同国軍幹部には旧ソ連で訓練を受けた者が多く、ロシア流のテロ対策をとっているとの専門家の分析を紹介。02年にモスクワの劇場を武装勢力が占拠した際、ロシア治安部隊の制圧作戦で人質約130人が死亡した事件との類似性を指摘した。
最終更新:1月21日(月)8時52分
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