日馬富士らが弔問　国技館では現役時代映像…大鵬死去一夜明け

元横綱・大鵬の納谷幸喜さんの死去を受け、弔問に訪れた横綱・日馬富士

　大相撲で史上最多の優勝３２回を誇った元横綱・大鵬の納谷幸喜さんが７２歳で死去して一夜明けた２０日、大鵬部屋の流れをくむ東京都江東区の大嶽部屋や、初場所８日目が行われた墨田区の両国国技館は昭和の大横綱を弔う雰囲気に包まれた。

　今も「大鵬道場」の看板が掲げられる大嶽部屋には、横綱・日馬富士関らが弔問に訪れた。部屋関係者によると、納谷さんの遺体は稽古場の上がり座敷にあり、布団に寝かされているという。日馬富士は「安らかに眠っていました」と神妙に話した。

　国技館内では、２００９年に大相撲で初の文化功労者に選ばれた納谷さんの現役時代の映像を大型テレビで再生。多くの来場者が見入った。日本相撲協会の北の湖理事長（元横綱）は３０日に決まった通夜の前に、ひつぎが国技館に寄る可能性を示唆。同理事長は「心からお悔やみ申し上げたい」と哀悼の意を示した。

　大嶽部屋は２０日の朝稽古を行わなかったが、力士３人が８日目の土俵に立った。ただ一人勝った序ノ口の森麗は「突然で悲しかったけど、全力を出すつもりだった」と話した。

　大嶽親方（元十両・大竜）によると、納谷さんは亡くなった１９日も入院先の病院で朝食を半分くらい食べ、電話で妻芳子さんと会話した。その後に容体が急変し、午後３時１５分に心室頻拍で息を引き取った。